カンデオホテルズ京都烏丸六角~京都市登録有形文化財「旧伴家(ばんけ)住宅」が現代の技術、技法、デザインにより魅力的に変身~

2021年6月にオープンしたカンデオホテルズ京都烏丸六角。コンセプト立案からファサード、基本計画、基本設計、監修をGARDEが手掛けました。

このホテルの最大の特徴は、大変貴重な京都市登録有形文化財である伝統的な町屋「旧伴家住宅」をホテルとしてリデザインしたことです。町家の中でも「旧伴家住宅」は、当時の趣を残す貴重な建物で、特に主室と次の間から成る座敷はともに面皮柱(めんかわばしら)を建て、面皮長押(めんかわなげし)をまわすなど数寄屋風に仕上げられており、また主室は床・棚・平書院を構え、棚の天袋・地袋の奥には池大雅(いけのたいが)の墨絵が張られているなど細部に渡り手を抜かず意匠としても優れています。その趣や魅力を最大限に生かすため、応接の間、ラウンジ、BARの畳空間はそのままに、元々あった中庭は保存し、1Fの応接の間から京町家の空間をくつろぎながら楽しんで頂けるようにしました。

京都の伝統建築や文化と現代の技術や技法、あらゆる英知により京都烏丸の地に唯一無二の価値を持つ体験型町家「カンデオホテルズ京都烏丸六角 」が誕生。まさに“暮らすように京文化に触れる”「滞在型文化体験施設」、「滞在型町家」と言えます。

 

伴家(ばんけ)住宅とは
伴家は近江八幡町の出身で、明治29年(1896)に現在の位置に居を構え、代々呉服問屋を営んできた。 主屋は、店舗棟と奥の住棟のあいだを玄関棟でつないだ表屋造おもてやづくりの形式で、明治44年には現在の姿になっていたものと考えられる。建築的には、座敷がとくに注目される。主室と次の間から成る座敷は、ともに面皮柱(めんがわばしら)を建て面皮長押(なげし)をまわすなど、数寄屋(すきや)風に仕上げられており、また主室は床・棚・平書院を構えて、棚の天袋・地袋の奥には池大雅(いけのたいが)の墨絵を張っている。細部にわたって凝ったところがみられ、意匠的にも 優れたものである。この主屋は、多少手が加えられているものの、全体としては京町家の趣をよく残している。また、 京都の町家には明治から大正にかけて座敷のみを改築する傾向がみられるが、当家の
座敷もこうした一例で、近代における町家の動向を示している。
[平成3年4月1日 登録 京都市]
京都市史跡看板より引用)

【デザイン】
レセプション棟、客室棟、大浴場棟の3つの棟で構成。玄関口となるレセプション棟は、京都市登録有形文化財である旧伴家住宅をリデザイン。通り土間は、土間自体をそのまま残したことで京都の路地をイメージ頂けるような空間となっています。また、ラウンジだけでなくライブラリーやバースペースを作ることで見どころや体験コンテンツを増やし、滞在期間をより充実したものにして頂けるよう演出しました。

●レセプション棟
応接の間、バー・ラウンジなどでは、基本的に畳空間を踏襲。一階「応接の間」には、京都出身の文人画家である池大雅の墨絵が描かれた襖に、和を連想させる白檀が香る玄関などで、くつろぎの空間を創出。また二階のバーには、格子窓から見える通り土間に配された吊り下げ照明が、お祭りで掲げられる提灯を眺めるような雰囲気を醸し出し、町屋に住む感覚を演出しています。
当時からあった土間は通り土間にすることで、京都の路地を思わせる空間になっています。


(左)エントランス (右)坪庭


(左)一階/応接の間 (右)通り土間

●客室棟
和風建築の特徴的な直線を活かしつつ、パターンにはトラバーチンの色や暖かさのあるピンクブロンズのディテールといった意外性のある洋風の仕上げを導入。ウォールナットを取り入れることで高級感に包まれた空間を創り出しました。
トラバーチンの優しい印象や金属部に町家を反射させた間接視界など歴史のある町家の建築とも違和感なく調和を保ちながらモダンなデザインに仕上げました。

(左)スイートルーム (右)ツインルーム

●大浴場棟

◆カンデオホテルズ 京都烏丸六角とは
地上10階建ての客室棟には106室の客室があり、プライベートスパ付き客室も2部屋完備。またカンデオホテルズチェーン最大の特徴である大浴場は心地よい風が吹き抜け、外気を感じることができる外湯となっています。男湯にはドライサウナと水風呂、女湯にはミストサウナを完備。京都観光で疲れた身体を癒し、リフレッシュできる空間を提供します。
京都が一年で最も賑わう祇園祭の際には、ホテル正面に山鉾(浄妙山)が組み立てられます。機能性とデザイン性の両立もさることながら、祇園祭を最も間近に感じられるカンデオホテルズ 京都烏丸六角は非常に希少性の高いホテルです。

施設概要
–     正式名称:カンデオホテルズ京都烏丸六角
–      所在地:〒604-8064京都市中京区六角通烏丸西入   骨屋通149
–      敷地面積:828.99㎡
–      建築面積(建蔽):619.95㎡
–      容積対象 床面積(全フロア):3302.55㎡
–      高さ:31.00m、地上10階
       ※客室棟、大浴場棟のみ。

業務内容
コンセプト立案、ファサード、基本計画、基本設計、監修

                    

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