GARDEが手掛けるアートギャラリーGOCA by Gardeにて、清水ちえ、田中さお、アン・ソンミンの3名によるグループ展「Beyond the Archetype」を、2026年3月5日(木)より開催いたします。
本展は、「アーキタイプ(原型)」という概念が歴史の中でどのように形成され、文化や社会の中で継承されてきたのかを問い直す展覧会です。生命、国家、文化といった枠組みの中に存在する見えない構造を、客観的かつ自由な視点から捉え直しながら、その境界を流動的に再考します。
伝統と現代、東洋と西洋、自然と人工といった対立的に語られがちな要素を横断しながら、3名のアーティストはそれぞれの方法で文化の記憶や精神性を掘り下げ、現代社会における新たなアーキタイプの可能性を提示します。
本展の見どころ
・清水ちえ
清水氏は、日本の伝統芸能や精神文化に根差した彫刻作品を通じて、現代社会における人間の存在を問い続けています。能や茶道などに代表される日本の芸道の思想や、日本文学に通底する無常観、そして幽玄の美意識を背景に、人間の内面に潜む感情や精神性を表現しています。
代表的な《Head Series》では、2020年のパンデミックや政治的混乱といった現代社会の不安を、能面の表情に重ね合わせることで、時代を超えて共有される人間の感情を象徴的に可視化しています。
本展で展示される《Untitled No.16》は、日本の伝統芸能である獅子舞から着想を得た作品で、静と動の対照的な二つの姿を通して、精神と身体の均衡の重要性を示唆しています。古来のシャーマニズム的思想と生命の儚さを現代的な物語へと再構成することで、人間の存在の根源的な意味を問いかけています。

左: Untitled No.16 (subtitle: Spirits of Lion Mask),2020
Ultra-cal, plaster, seashell powder, pigments, white gold and silver leaf, twine
35 x 28 x 35 inches (89 x 71 x 79 cm)
右:Wall Head No.8 : Rage,2025
Ultra-cal, plaster, seashell powder, pigments, gold and white gold leaf, wire, bamboo, twine
12 x 7.5 x 28 inches (30.5 x 18 x 71cm)
・田中さお
田中氏は、水墨画という歴史的な絵画形式を出発点に、土地の記憶や人々の集合的なアイデンティティを現代的な風景として描き出します。
日本画における「自然」という概念が、日本の近代化の過程で「伝統」という思想の中で構築されたものであるという視点をもとに、光、水、山、空気といった自然要素を多様な美術史や視覚文化から再構成し、架空の神話が展開する風景を描き出します。
技術と伝統の対比を通じて歴史や制度の可変性を浮かび上がらせながら、自然と人工という二項対立に潜む緊張や矛盾を視覚化し、異なる概念のあいだに存在する曖昧なグラデーションを探求しています。

左:There Was Day and There Was Evening 2, 2024
sumi ink, acrylic oil, gold paint on mulberry paper
12 x 12 inches(30.5 x 30.5 cm)
右:Mythopoeia (#1), 2026
sumi ink, acrylic oil, gold paint on mulberry paper
24 x 18 inches(61 x 45.7 cm)
・アン・ソンミン
アン氏は、韓国の伝統絵画を現代科学や多層的な空間概念の視点から再解釈することで、文化の交流と時間の流動性を再考する作品を制作しています。
韓国の伝統絵画を学んだ経験を基盤に、水墨画と彩色画という歴史的に分離されてきた絵画様式を一つの画面に融合させ、現代社会における共存と均衡のあり方を表現しています。
また、西洋的な線遠近法とは異なる視点を取り入れ、複数の視点が共存する東洋的な逆遠近法の思想を作品に取り込むことで、東洋と西洋、伝統と現代といった対立的な要素が相補的な関係にあることを示します。
その結果として、多層的でハイブリッドな空間が立ち上がり、既存の枠組みに縛られない新たな文化的アーキタイプを提示しています。

左:Peonyhat Vanilla 4, 2024
Ink, pigment, and wash on plywood
23 x 27 inches(58.4 x 68.5 cm)
右:Cloudwater Italian Frame 3, 2019
Ink, pigment, and wash on plywood
28 x 28 inches(71.1 x 71.1 cm)
展覧会開催概要
タイトル :「Beyond the Archetype」
期間 : 2026年3月5日(木)~4月23日(木)
住所 :GOCA by Garde 515 W 23rd St, New York, NY 10011
入場料 :無料
公式サイト:https://www.goca.gallery/
アーティストプロフィール
清水ちえ(しみず ちえ)
東京藝術大学工芸科金属専攻にてBFA取得後、2001年にニューヨーク・アカデミー・オブ・アートで彫刻のMFAを取得。現在はニューヨーク・クイーンズを拠点に活動。
主な個展にNowHere Gallery(ニューヨーク、2022)、Gallery Kōbō(東京、1993・1996・2025)など。2024年にはForum Galleryで開催されたSummer ExhibitionにてFirst Prizeを受賞。フランスのChâteau de BalleroyやニューヨークのThe Church in Sag Harborなどでアーティスト・イン・レジデンスに参加。
公式HP:http://www.chieshimizu.com/
田中さお(たなか さお)
多摩美術大学日本画専攻を2014年に卒業後、一橋大学大学院社会学研究科にて修士号を取得。2021年にはニューヨークのSchool of Visual Artsにて研修。
主な個展にTSUTAYA GALLERY(東京、2025)、Mizuma & Kips Gallery(ニューヨーク、2022)など。The Drawing Center(ニューヨーク、2025)、広島市現代美術館(2018)などでのグループ展に参加。Pola美術振興財団の助成(2024–2025)を受け、NARS Foundation(2024)、Vermont Studio Center(2025)などのレジデンスに参加。
公式HP:https://www.saotanaka.com/
アン・ソンミン(あん そんみん)
ソウル大学で東洋画のMFAを取得後、メリーランド・インスティテュート・カレッジ・オブ・アートでMultidisciplinary ArtのMFAを取得。
メトロポリタン美術館、クイーンズ美術館、Asia Societyなどで教育活動にも携わる。作品は韓国国立現代美術館、プリンストン大学美術館、ハドソンリバー美術館などに収蔵。Pollock-Krasner Foundationをはじめとする数々の助成を受けている。
公式HP:https://www.seongminahn.com/
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