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ラグジュアリーブランドが仕掛ける、カフェ・レストランに見る新たな潮流

近年、Hermès、GUCCI、Tiffanyなど、名だたるラグジュアリーブランドがカフェやレストランをオープンするケースが増えています。今回は、ラグジュアリーブランドがなぜ飲食店業態に参入するのか?その理由についてお届けします。

近年のラグジュアリーブランドの傾向

海外ではFENDI やArmaniが手掛けるホテルが開業され、日本ではブルガリ ホテル 東京が2023年に誕生し、そのブランドの世界観が楽しめるとして、また従来のラグジュアリーホテルとは違った楽しみを得られる場として、生活者の憧れの施設の1つとなっています。

現代の消費者は、モノ消費からコト消費、体験や感動、共感といった、形のない価値を求める消費者が増えている傾向にあります。その中でもホテルの流れを踏襲し、カフェやレストランにおいてもブランドを体現した空間やメニューの提供によって身近にブランドの世界観を体感してもらう場として欠かせない市場であるといえます。

ブランドの世界観を五感で表現

様々なラグジュアリーブランドが展開するカフェやレストランは、その美意識、様式美や世界観を体現する空間として設計されており、インテリア、食器、音楽、そしてもちろん料理に至るまで、細部にまでブランドのこだわりが反映されています。

例えば、大阪心斎橋にあるラグジュアリーブランドの世界初のカフェレストランでは、ブランドらしい落ち着いた空間デザイン設計になっているほか、第2号店となる東京・銀座の店舗は外観のビルデザインに合わせた色彩で爽やかな空間デザインが特徴となっており、店舗によって異なった楽しみ方や特別なひとときを楽しむことができます。いずれの店舗にもお客様をお出迎えする入口にブランドの代表的な商品がインテリアとして飾られ、店舗内ではナプキンホルダーや提供されるラテアートにブランドの特徴的なデザインが施されているなど、細部へのこだわりによってブランドカフェで過ごすラグジュアリーな時間への期待感とブランドの存在感をしっかりと表現された空間となっています。

AMI PARISは表参道通りに「LE CAFÉ AMI ル・カフェ・アミ」を期間限定で開催。1階はイートインスペースとしてAMI PARIS のブランドの世界観を楽しむことができ、2階はブランド商品を販売しており、単なるレストラン・カフェだけでなく、より深いブランド体験と一層ブランドへの愛着を深める空間となっていました。

気になったブランドカフェやレストランは是非店舗へ

ラグジュアリーブランドが取り組むホテルやカフェ・レストランは気軽にブランドの世界観を感じることができる機会となっています。なかなかブランド店舗の扉を開けにいくのは少し勇気がいるという方も多いかもしれませんが、ブランドのこのような取り組みをきっかけに実店舗のストアにも訪れていただき、空間そのものを楽しんでいただけると嬉しいです。

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千年の美が創る未来:西陣織が空間デザインにもたらす革新

京都・西陣で千年にわたり受け継がれてきた西陣織。伝統的な技術と美しさで知られており、その歴史は1200年にもおよびます。海外では織物=テキスタイルと呼ばれ、ディオールやシャネル、エルメス、カルティエなどのブランド店舗の内装に使われるなど、空間デザインの分野でも注目を浴びています。

西陣織の空間デザインへの革新的な活用

西陣織は、その多彩な技法と精緻なデザインで、インテリアファブリックとしての新たな展開を見せています。例えば、渡文株式会社は、帯地の製織で培った技術を活かし、タペストリーやアートパネルなどのインテリアファブリックを制作しており、「満月」や「砂紋」といった作品は、西陣織の技法である「ふくれ織」を応用することで作品としての立体感や光沢を巧みに表現しています。

また、株式会社加地織物が展開するブランド「KYOGO」は、西陣織の伝統技術と現代のデザインを融合させたインテリアファブリックを販売。フランス・パリのショールーム「ESPACE DENSAN」での展示では、壁紙やファブリックパネル、クッション、シェードなど、多様な製品が紹介され、海外からも高い評価を得ています。

アップサイクルによる新たな価値創造

西陣織の伝統的な素材や技法を活かしつつ、現代の感性を取り入れたアップサイクルの取り組みも注目されています。廃棄されたビニール傘を再利用したアップサイクルブランド「PLASTICITY」と、桐生織の森秀織物株式会社、クリエイターのEmi Arihisa氏がコラボレーションし、桐生織から着想を得たリ・デザインを活用したマルチショルダーケースが販売されています。

伝統と現代の融合が生み出す未来

西陣織は、伝統的な技術と美意識を継承しつつ、現代のデザインや技術と融合することで、新たな価値を創造しています。熱海の「桃乃八庵」は、由緒正しき別荘エリアとして知られる春日町で、長く愛され続けてきた旅館の別館だった建物。5年間放置された築85年の建物でしたが、その古民家を再生・リノベーションし、キュレーションホテルとして生まれ変わり、部屋のソファと黒いサロンチェアの張地は斉藤上太郎氏デザインの西陣織が採用され、伝統とモダンが調和した空間が生み出されています。

日本ではその継承者不足によりここ30年で日本の着物市場全体は5分の1へ、高級な「帯」が主力である西陣織の市場は10分の1へと減少しているといいます。近年では存続のために機械化に挑戦する工房も増えているといいます。伝統工芸である西陣織が持つ無限の可能性が再注目を集めることで、その価値と存続の重要性が伝わることを祈っています。

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進化する木造建築:環境負荷ゼロを目指した未来のかたち

木造建築は、環境負荷の低減や持続可能性、そしてデザインの革新性から、世界的に再注目されています。本記事では、木造建築の魅力と機能性、そして日本における将来性について、国内外の具体的な事例を交えてご紹介します。

環境負荷の低減と持続可能性

木材は再生可能な資源であり、成長過程で二酸化炭素を吸収・固定します。鉄やコンクリートと比較して、製造時のエネルギー消費が少なく、建築物のライフサイクル全体での環境負荷を大幅に削減できます。また、木材は炭素を固定し続けるため、地球温暖化対策にも貢献すると注目を浴びています。

技術革新とデザインの可能性

近年、木造建築技術の進化により、高層建築や複雑なデザインも実現可能となりました。特に、*1CLT(直交集成板)や*2プレファブリケーション技術、木材と他の材料を組み合わせたハイブリッド構造などが、木造建築の可能性をさらに広げています。木材は視覚的な温かみだけでなく、調湿性や断熱性にも優れています。そのため、木造建築は快適で健康的な居住空間を提供し、リラックス効果やストレス軽減が期待されています。

*1CLT(直交集成板): ひき板を繊維方向が直交するよう に積層接着したパネル
*2プレファブリケーション技術:工場等であらかじめ部材の加工、組み立てを実施しておくこと

海外における木造建築の事例

海外でも、木造建築の革新的なプロジェクトが進行中です。オーストラリア・シドニーでは、世界最高となる高さ182メートルの木造ハイブリッド構造ビル「Atlassian Central」が建設中です。このビルは、木材と鉄骨を組み合わせた構造で、環境負荷の低減とデザイン性を両立しています。また、ドイツのウーアバッハでは、自己成形する木材を用いた「ウーアバッハ・タワー」が建設され、木材の乾燥収縮を利用した革新的なデザインが注目を集めています。

日本における木造建築の将来性

日本は世界有数の森林国であり、古くから木造建築の技術を受け継いできました。近年では、CLTをはじめとする新しい木質材料の利用や、伝統的な木組み技術と現代技術の融合が進んでいます。また、法規制の緩和や技術開発、地域活性化など、木造建築の可能性を広げる取り組みが進行中です。

具体的な事例

HULIC &New GINZA 8(東京都):銀座中央通りに位置する地上12階、地下1階の商業施設で、日本初の12層木造架構を実現しています。燃エンウッドの柱・梁やCLTを用いた制振壁など、最新の木造技術が採用されています。
takenaka.co.jp

Port Plus(東京都):地上11階建ての純木造耐火建築物で、壁や床、屋根の構造体にCLTを使用し、内装の天井や階段、家具等にもCLTを活用しています。自社の宿泊機能付き研修施設として、木造建築の新たな可能性を示しています。
clta.jp

いま再注目されている木造建築。環境への配慮、デザイン性、そして技術革新の可能性を改めて示し始めています。日本における木造建築の未来は、これらの取り組みにより、さらに明るく、持続可能な社会の実現に向けて大きな役割を果たすかもしれません。

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メタバースの可能性とは?デジタルと現実が融合する未来

近年、急速に進化するデジタル技術により、メタバース(仮想空間)が私たちの社会において重要な役割を果たし始めています。メタバースは単なるゲームの世界ではなく、ビジネス、教育、観光、地域活性化など、多様な分野での活用が期待されています。また、地方創生の新たな手段としての可能性にも注目が集まっています。

そもそもメタバースとは何か?

メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間のことを指します。利用者はアバター(デジタル上の自分)を通じて、この空間内を自由に移動し、単なるコミュニケーションツールに留まらず、経済活動なども行うことのできる社会的コミュニティ、一部の人々にとっては生活インフラになるまでその市場は拡大しています。また、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)技術の進化は、メタバース体験をよりリアルに、そして没入感のあるものへと進化させています。現実世界とデジタル世界が融合することで、これまでにない新たな体験やビジネスチャンスが生まれています。

その中で代表的な例の1つがNFT(非代替性トークン)の活用です。NFTとは偽造できない鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータを活用し、デジタル上の土地やアイテムを売買することでデジタル資産の所有なども可能となっており、新たな売買市場やビジネスを創出する技術として注目が集まっています。

GARDEのメタバース事業部は2023年に青山デザインフォーラムが運営するメタバース空間「COCO WARP」の空間デザインと製作・販売サービスの提供を開始し、アバターによるカンファレンス参加やアート鑑賞、購入などが可能となっています。

メタバースがもたらすビジネスチャンス

メタバースの登場により、企業のビジネスモデルにも徐々に変革が求められています。マーケティング手法やリモートワークの普及によるバーチャルオフィスとしての空間活用、そのほか、教育・研修の点においてもメタバースを活用した没入型の学習体験が実現可能なため、医療分野では手術のシミュレーション、製造業では工場のオペレーション訓練などが期待されています。

また、メタバースによるビジネスチャンスは、地方創生と観光業の活性化の点においても注目されています。地方自治体がメタバースを活用することで、地域資源をデジタル化し、世界中の人々に発信することが可能となります。例えば、歴史的建造物や観光名所をVR化し、遠隔地からでも訪問体験ができるようになるほか、地方の特産品をメタバース内で販売することで、地域経済の活性化にもつながることが期待できます。

地方創生メタバースアワードへの参加を考える

GARDEでは40周年の節目に初の「地方創生メタバースアワード」を2024年11月より開催しています。地方自治体からの需要とクリエイターの力をかけ合わせ、メタバース技術を通じて地域の魅力を広く発信し、地方経済や文化の発展をサポートすることを目的としながら、地方活性化に貢献するアワード応募者の取り組みを表彰するアワードとなります。

単なる流行ではなく、社会のあり方を根本から変える可能性を秘めています。地方創生においては、新しい価値を創出し、地域の活性化につなげる大きなチャンスとなるはずです。

2025年4月30日の締め切りが迫る中、企業や自治体の皆さまにおかれましては、ぜひこの機会にメタバースの活用を検討し、「地方創生メタバースアワード」にご注目、応募をご検討ください。

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GARDEのサステナビリティ施策を紹介 デザイン業界に求められるサステナビリティとは

地球環境の深刻化や社会意識の変化、ESG投資への関心の高まりなどにより、近年注目度を増すサステナビリティ。社会全体、またデザイン業界に求められる課題解決に向けた取り組みの検討、実施をGARDEでも積極的に行っています。

今回の記事ではGARDEのサステナビリティ施策と実績について紹介します。

サステナビリティとは

サステナビリティとは、環境や経済などに配慮した活動を行うことで、社会全体を長期的に持続させる狙いがあります。
企業におけるサステナビリティには、環境、社会、経済の3つの観点から持続可能な社会を目指す経営が求められています。

建築・デザイン業界のサステナビリティ

建築・デザイン業界がコミットできるサステナビリティ施策には、環境面・経済面の要素が大きいと考えられています。例えば、建築物の建設や運営、維持に関わるCO2排出量の削減や、再生エネルギーの活用、資源の有効活用、より自然に配慮したサステナブル建築の設計などが挙げられます。

上記の業界施策に加え、当社では業界内外に関するサステナビリティトレンドを継続的に調査することで、クライアントに合わせた最適な取り組みのご提案を目指しています。
サステナビリティトレンドに関する記事は以下よりご覧いただけます。
>商空間デザインの最前線を探る
>優れた汎用性を持つ「竹」の用途
>日本のサステナブルファッション

GARDEのサステナビリティ施策

デザイン事業
GARDEのメイン事業の一つであるデザイン事業では、建築デザインからインテリアデザイン、環境デザインまで幅広い分野においてデザインと機能が結びつく空間を創造しています。

近年クライアントから求められるデザインは機能性だけなく、サステナビリティも欠かせない要素です。
当社では、空間を構成するマテリアルや空間を彩る家具の選定においてもサステナブルな構成を意識し行っています。
また、より長くご利用いただくために、配置や動線を熟考することで持続可能な設計をデザインに反映させています。

メタバースの可能性
2023年より新事業としてスタートしたメタバース空間のデザインと製作及び販売サービス。
当社が提供するデザイン事業を拡張し、お客様にさらなる付加価値を提供することが目的ですが、このメタバース事業にもサステナビリティを意識した要素があります。
店舗やイベント会場、ショールームなどの空間を建設するには土地や資材の確保が不可欠です。しかしメタバース上で空間を構築するとこれらの削減を可能とし、地球環境への配慮にも十分に期待できます。

その他、社会開発の観点から、観光で地域を活性化させる地方創生事業の運営や遊休不動産の活用にも積極的に取り組んでいます。
事業紹介はこちら

EcoVadisへの参加

EcoVadis は、1)環境、2)労働と人権、3)倫理、4)持続可能な調達に対する企業の行動と今後の取組みを「プラチナ」、「ゴールド」、「シルバー」、「ブロンズ」、「評価なし」の 5 段階によって評価する世界的な認定制度です。

GARDEは2024年からこの制度へ参加し、世界 13 万社の評価対象企業の中で上位 15%に付与されるシルバーメダルを獲得しています。
EcoVadisに参加することで自社の強みや改善点の把握ができ、持続可能な社会の実現に向け、取り組みの強化と継続が可能となりました。

さいごに

GARDEのサステナビリティ施策についてご紹介しました。
各取り組みを通じ、「環境保護」「社会開発」「経済発展」への更なる貢献を目指します。

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