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インテリアトレンド「ジャパンディ」和モダン照明で作り出す空間の魅力

日本を象徴とする「和」と北欧のモダンなスタイルを融合させた新たなスタイル、ジャパンディ(Japandi)。
2020年のパンデミック以来、住居スペースのデザインとプライベートスペースへの関心が高まっており、このジャパンディスタイルも国内外問わず、心地よい空間づくりの代表例として多く取り入れられています。

ジャパンディスタイルの空間を作りあげるには、シンプルさ、温かみのあるカラートーン、自然素材でできた家具や壁紙などがマストであると言われています。これらの要素は非常に重要なパーツですが、すべてを揃えるとなると非常にコストがかかってしまいます。比較的容易に取り入れることができ、空間の印象が大きく変化させる要素として注目したいのが照明です。そして日本で近年広く用いられている和モダン照明はこのジャパンディスタイルを作り出すのに適していると言えます。

この記事では、和モダン照明がジャパンディスタイルにおすすめな理由と日本ならではの素材や技術を活かした照明をご紹介していきます。
Japandiについて詳しく知りたい方はこちら

照明が空間にもたらす効果

照明は照度と色温度を組み合わせることで、空間に合わせた雰囲気を作り出すことができます。
暖色系の照明を用いると温かいリラックスした雰囲気や重厚感漂うスペースに。対照的に白色系の照明は、爽やかさで清潔感のある印象など、空間の目的や用途によって使い分けることで印象が大きく変化します。
ジャパンディスタイルの空間を目指すには、温かみを感じる灯りを意識して取り入れていくことをお勧めします。

和モダン照明がジャパンディスタイルに最適な理由

日本の伝統的な和風デザインと現代的なスタイリッシュなデザインを融合させる和モダンデザインは、様々な空間テイストやインテリアに馴染むことから万能なスタイルになりつつあります。
和モダン照明は、懐かしさを感じさせる温かみのある灯りが特徴で、今や住宅やレストラン、ホスピタリティなど多くの場面で用いられるほど人気なスタイルになりました。

日本で古くから使われてきた和紙や麻などの自然素材を用いた和モダン照明は、程よく光を和らげ温かい雰囲気を作りだしてくれます。ここにスタイリッシュや直線的なイメージであるモダンの要素が加わることで、ジャパンディスタイルにも通用する、空間がミニマルにまとまるシンプルさを表現することが可能となります。

日本でしか手に入らない、伝統工芸や素材を活用した和モダン照明

日本では昔から和紙や麻、木枠など、和室に合う素材を用いて和照明を活用してきました。この日本の伝統的な要素を上手く取り入れた和モダン照明の人気が上昇しています。

例えば、和風照明の老舗が提供する提灯と和紙を組み合わせたペンダントライトは、国産の和紙を熟練の職人が手作業で1枚1枚時間をかけて作り上げたものを使用しています。外国人デザイナーが設計した、伝統と革新が融合した和モダン照明も人気商品の一つです。

日用食器から伝統的な工芸品まで生産されている、400年の歴史を持つ波佐見焼。透けるような白磁の美しさを活かし製作された照明が空間のカラートーンと調和しジャパンディスタイルの理想的なインテリアに近づけてくれます。

職人が一つ一つ丁寧に仕上げる竹細工は日本の伝統工芸の中でも高い人気を誇っています。
表面の虎柄模様が特徴で、経年変化がほとんどない虎斑竹と、年数の経過で色合いが大きく変化する淡竹を使用し緻密に製作された照明もまた、シンプルな空間に程よいスパイスを与えてくれます。繊細かつ優美な竹細工照明が空間を彩ること間違いなしです。

さいごに

ジャパンディスタイルに最適な和モダン照明をご紹介しました。
日本の和風スタイルをジャパンディとして取り入れてみてください。

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社長の室が語る、GARDEの軌跡と未来への革新 #2

2025年で創業40周年を迎えるGARDEはこれまでホテルからデパート、リテール、オフィスまで幅広い分野のプロジェクトに向き合い、自社が誇るデザインを磨いてきました。築き上げたノウハウを活かしデザインを通じて社会問題にも取り組むべく、常に新しく挑戦し続けています。

前章では「GARDEが目指すデザイン会社の姿」、「多様なワークスタイルが生み出すオフィスデザイン」についてお話しています。
以下URLよりぜひチェックしてみてください。
https://www.gardedesignmagazine.com/president-interview-trajectory-and-future-innovations/

今回の章では近年スタートした3つのビジネスについて紹介します。

空間の制約を受けないデザイン、メタバース事業の可能性

2023年より新事業としてスタートしたメタバース空間のデザインと製作及び販売サービスでは、2つの柱を軸にサービス展開を図っています。

1つ目は、私たちが提供するデザイン事業を拡張し、お客様にさらなる付加価値を提供することです。東京のタワーマンションが良い例と言えます。従来、デベロッパーはショールームのようなモデルルームを作り、人々に来場を促し見てもらう必要がありましたが、それには非常にコストがかかり、場所の確保も必要となります。しかし現代では、VRとメタバースで開発した成果物を実演するための小規模な空間を用意するだけ良いのです。この方法により、低コストかつ省スペースで複数のデザインを展示することができ、時間の短縮にもつながります。

2つ目のアプローチは、メタバースを中心としたまったく新しいビジネスを立ち上げ、クライアントをサポートすることです。これは現在、収益性の新たな柱となっています。私たちは、人々がメタバースの世界で購買活動を行う将来を予測しており、そのための基盤を準備しているところです。

例えば、グッチやバレンシアガのような大手ファッションブランドがメタバース体験としてファッションショーを行っていますが、私の知る限りではメタバース内で売上を上げることはできていません。商品の3D写真を常に撮り直さなければならないなど、まだまだ多くの障害があることも事実です。加えて、スマートフォンの通信速度も現時点ではメタバース体験に対応できるほど十分ではありません。技術が追いつき始めれば、人々は現実の店舗と同じようにVRでAmazonのようなサイトを利用できるようになると考えています。

1つの思い付きから無数のアイディアへ。発展し続ける不動産ビジネス

当社の不動産サービスは2020年にスタートを切り、以来クライアントに寄り添い、課題解決へと導いてきました。クライアントへのその思いこそが不動産サービスを展開するに至ったきっかけとも言えるかもしれません。

サービスの検討前から、あるグローバルブランドの本社に関わるデザイン業務を請け負っていました。このブランドから、銀座はもちろん、他にも何カ所かに出店したいので、いい場所を探してほしいという依頼を受けました。私たちはブランドの条件やイメージにそぐう立地を探しながら、「これをビジネスにできないか」と考えました。

宅地建物取引士の資格を持つスタッフを獲得し、複数店舗を構えるグローバルブランドを中心としたクライアントへの新たな事業として不動産仲介サービスが誕生したのです。

後述する地方創生事業の一環ではないのですが、この不動産事業を始めてから多様に進化し、地方の土地活性化にも役立つ取り組みを行っています。それは主に地方のホテルや住宅の改装です。まず土地を探し、その土地におけるマスタープランを作ります。ホテルであればオペレーターを探し、総合的な計画を立て、デベロッパーに資産の買い取りを依頼します。

現在、進行中のプロジェクトとして、京都を中心に複数のホテルがあります。これほどの大規模な設計案件を単体で受注することは難しいですが、不動産の立地や全体の計画をオペレーターに提供することで、プロジェクト全体を通し建物を設計することが可能となります。これが私たちの新しい不動産ビジネスモデルの肝と言えます。

人と市町村をつなぐ、観光サイト「タビイコ」。地方創生に向けた新たな一歩

コロナ禍以前より日本のツーリズムは海外からも注目されていましたが、コロナ収束後の現在ではさらに人気が上昇しています。都市圏を中心にオーバーツーリズム問題に直面するほど、日本ツーリズムは成長しているのです。
これほどまでに人気を誇る旅行先でありながら、地方にはまだまだ知られていない素晴らしい観光資源がたくさんあります。当社が目指す地方創生事業は、観光で地域を活性化させることです。

地元でしか知られていない素晴らしい観光資源を、地方自治体が直接登録できるプラットフォームとして、観光サイト「タビイコ」を開発しました。
タビイコでは全ての観光資源を市町村と紐づけており、観光名所だけでなく、この観光名所と言えば「○○町」、というように市町村名の認知度向上も図っています。

タビイコに登録いただいた名所へ、より多くの方がアプローチできるように、地方観光コンテンツの開発にも積極的に取り組んでいます。現在、タビイコを活用しながら参画いただいている160の市町村に、グローバルなネットワークを最大限に活用した企画提案・コンサルティングを進めているところです。

地元に来てもらい、知ってもらう。周囲に広めてもらい、訪問客や関係人口を増やす。観光が地域活性化を促進させ、そして地方創生に繋がっていくと考えています。

さいごに

40年間紡いできたGARDEの歴史と未来への進展についてご紹介させていただきました。
原文は以下URLよりご覧いただけます。
https://www.theworldfolio.com/interviews/garde-international-interior-design-for-modern-age/6334/

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日本のサステナブルファッション: 環境に配慮した未来へ向けての挑戦

世界のファッション業界がますますサステナビリティを優先するなか、伝統的な職人技術と最先端テクノロジーを融合させる日本はリーダーとして台頭しつつあります。日本のファッションブランドは、デザインから素材調達、消費者との関わり方まで、一連の取り組みを見直そうとしています。これらのブランドは、環境への負荷を減らすだけでなく、エシカルで持続可能なファッションを求める消費者のニーズに沿うような、環境に優しい手法を取り入れています。サステナブルファッションの未来を切り開く、日本の先駆的ブランド数社のアプローチを覗いてみましょう。

日本におけるフェアトレードファッションのパイオニア「People Tree」

日本で設立されたPeople Treeは、持続可能なファッションを支持する国内有数の企業です。フェアトレードの理念に深くコミットすることで知られるPeople Treeは、発展途上国の職人や農家と協力し、倫理的な労働条件と公正な賃金を保証。オーガニックコットンや手織り生地、天然染料を使用し、環境への影響を最小限に抑えた衣服を生産しています。日本で初めてFair Trade Internationalの認証を取得したファッションブランドのひとつとして、People Treeはエシカル製品の製造会社としてシンボルとなっています。

社会的な持続可能性に加え、People Treeのコレクションは、消費者がより少ない数で、より高品質かつ長持ちするアイテムを購入することを奨励するスローファッション運動に根ざしています。この哲学は、使い捨てと環境への影響の大きさで知られるファストファッションに真っ向から対立するものでもあります。短期的なトレンドよりも長期的な価値を重視することで、People Treeはファッションがいかに美しく、環境に配慮したものであるかを示しています。

サステイナブルデザインのための最先端技術「Issey Miyake」

日本で最も有名なファッションブランドのひとつであるIssey Miyakeは、長年にわたって先進的な取り組みを行っており、サステナビリティへのアプローチも積極的に実施しています。同ブランドのA-POC(A Piece of Cloth)の計画は、テクノロジーによってファッション業界の廃棄物をいかに削減できるかを示す重要な例です。このプロセスを通じて、衣服は1本の糸から作られ、生産中の生地の無駄を最小限に抑えることができます。

長年愛用できるようデザインされたハイテク素材を使用したPleats Pleaseコレクションにも、Issey Miyakeの耐久性へのこだわりがうかがえます。これらの衣服はシワになりにくく、手入れが簡単であるため、洗濯やメンテナンスの手間が省け、結果として水やエネルギーの消費を抑えることが可能となります。長持ちと実用性を優先することで、Issey Miyakeのデザインはスタイリッシュでありながら持続可能であることを保証しています。

ミニマリズムと環境保護責任の両立「無印良品」

ミニマルなデザインで知られる無印良品は、ファッションラインにサステナビリティを取り入れることで大きく躍進しました。同ブランドは多くの製品にオーガニックコットンを使用し、使用済みの衣服の回収を奨励するリサイクルプログラムを確立しています。これらのアイテムは新しい製品に再利用され、繊維廃棄物を減らし、循環型ファッションを促進しています。

無印良品のサステナビリティへの取り組みは、衣料品だけにとどまりません。不要な包装を減らし、サプライチェーンを簡素化することで、カーボンフットプリントを最小限に抑えることにも注力しています。「Less is more」という哲学を推進することで、無印良品は消費者に長く愛用できる汎用性の高い商品への投資を促し、使い捨てファッションを購入する衝動を軽減しているのです。

創造的なアップサイクルとゼロウェイストなデザイン「STUDIO NIBROLL」

東京を拠点とするブランドStudio Nibrollは、アップサイクルを活用することで、持続可能なファッションに芸術的なエッセンスを加えます。このブランドは、廃棄された生地や衣服を革新的でアヴァンギャルドなデザインに変身させ、他の方法では無駄になってしまう素材に新たな命を吹き込んでいます。このアプローチは、環境への負担を減らすだけでなく、再利用した素材の美しさを際立たせることで、従来のファッションの概念に新しい価値を与えてくれます。

アップサイクルに加え、Studio Nibrollは廃棄物ゼロのデザイン理念を遵守し、すべての生地が活用されることを保証しています。サステイナブルデザインの限界を押し広げることで同ブランドは、環境に配慮したファッションの創造的な可能性をアピールし、サステナビリティと最先端のスタイルが共存できることを示しています。

古着を現代風に再構築する「SIIILON」

古着を新しいモダンなアイテムに作り変えることで、サステナビリティへのユニークな取り組みを行っているSIIILON。この方法は、スローファッション運動に沿ったもので、環境汚染の主な原因となる新たな繊維生産の必要性を減らすものです。古着に第二の価値を与えることで、SIIILONは消費者にそれぞれの服に隠された職人技術と歴史への理解を促し、ファッション消費に対してより思慮深く持続可能なアプローチを促進します。

また、既存の衣服再生に重点を置くことで、衣服が廃棄されるのではなく、継続的に再利用される循環型経済を支えています。SIIILONの作品は、創造性と環境への責任を調和させながら、持続可能性をいかにハイファッションに取り入れることができるかを表しています。

持続可能性への総合的アプローチ

日本の持続可能なファッションムーブメントは、革新、伝統、創造性の組み合わせによって特徴付けられています。People Treeのようなブランドはエシカルな製品を生産することでリードし、Issey MiyakeやStudio Nibrollはテクノロジーとデザインを駆使し廃棄物を削減に取り組んでいます。無印良品はミニマリズムと耐久性を重視し、SIIILONは既存の衣服保存と再構築の重要性を強調しています。

ファッションによる環境負担が世界的に注目を高める中で、日本はファッション業界をより持続可能な未来へ導くための重要な役割を担う準備が整っています。これらのブランドは、環境および社会的責任への積極的な関与を両立させることで、ファッションがいかに今後の課題に対応し進化できるかを提示しています。

社長の室が語る、GARDEの軌跡と未来への革新 #1

2025年で創業40周年を迎えるGARDEはこれまでホテルからデパート、リテール、オフィスまで幅広い分野のプロジェクトに向き合い、自社が誇るデザインを磨いてきました。築き上げたノウハウを活かしデザインを通じて社会問題にも取り組むべく、常に新しく挑戦し続けています。

今回は社長の室がGARDEの軌跡と未来へ向けたビジネスモデルについてご紹介します。

日本デザインの美学から紐解く、デザイン会社のあるべき姿

日本のデザインはミニマリズムに代表され、シンプルで計算し尽くされた要素が上位を占めます。重要な要素は4つあり、1つ目は伝えるべき明確なメッセージ、2つ目は機能性を保ちつつシンプルであること、3つ目は見た目の美しさ、そして最後に持続可能性です。

特に、住宅や病院などの大規模な建築物の場合、持続可能性という要素は非常に重要です。大規模な建造物は長持ちするものであり、時代を超越したデザインが求められます。シンプルなデザインに高い機能性を持たせることで、建造物自体が持続可能なものになるのです。

当社がデザインを担当するラグジュアリーブランドや百貨店に関していえば、商品そのものが主役であることからインテリアデザインはシンプルに設計しています。このシンプルさが商品をより引き立ててくれますが、日本の美学的な要素ももちろん残すように工夫しています。各チームは、それぞれの美学の中に日本らしい価値を見出し、デザインを完成させていきます。

私たちはクライアントの要望と私たちの強みである豊富な専門知識により重きを置き、クライアントの立場に立つデザイン会社でありたいと考えています。

多様なワークスタイルとオフィスデザインの関連性

COVID-19のパンデミックにより、リモートワークやハイブリッドなワークスタイルの概念が大きく変化しました。より集中すべき仕事はリモートワークというスタイルを採用し、共同作業やアイディア共有のためにオフィスを活用するという考え方があります。一方で、パンデミックの終息に合わせ、生産性を高めるためにオフィスに人を集め、オフィス自体の機能性を充実させる事例も増えています。

私たちのクライアントにも同様のワークスタイルを採用した事例があります。生産性を高めるためには、コミュニケーションこそが重要な要素であり、このコミュニケーションという要素を基軸に、新しいオフィススタイルを創造する必要がありました。

特にデザイン的な概念としては、一人一人のスペースが広がり、ハイブリッドな新しいワークスタイルが可能になった、ということです。この新しいワークスタイルを理解することは、クライアントのために空間をデザインする上で不可欠です。インテリアデザインとは、特定の美的要素を理解することよりも、人々がどのようにスペースを使うかを理解することだと考えます。

ABW(アクティビティ・ベースド・ワークプレイス)とは、目的や業務内容に合わせて、自由に働く場所や時間を選択できる働き方を指し、近年非常に重要な概念となっています。企業の業務内容は、その企業でどのようなワークスタイルを導入すべきか定める要素となります。私たちの仕事はそれをヒアリングし、空間づくりに反映させることです。コピー機までの歩行距離など、細かいところまで生産性を上げるために緻密に計算していきます。休憩室もこの点では重要で、ドリンクコーナーだけでなく、ビリヤードやピンボールを活用しスタッフのモチベーションを高め、快適に過ごせる空間を整える事例もあります。

>次章に続く

優れた汎用性を持つ「竹」の変幻自在な用途とは

強度、耐久性、多用途性の観点から見ても非常に優秀な素材として認知されている「竹」は長く日本産業を支える重要な資材でもありました。
環境負荷の少ない素材として世界から注目を集める竹の有益な活用事例についてお伝えしていきます。

竹が建築素材に最適なわけ

竹材と聞くと東南アジアの竹建築を思い浮かべる方が多いかもしれません。実際に竹は、温暖湿潤な東南アジアを中心に生育する植物です。そのため東南アジアを中心に作られる美しい竹建築は、その土地の歴史を感じさせながらも近代的な要素を見事に取り込んでいます。

タイ北部のチェンマイにあるパンヤデンインターナショナルスクールに作られバンブースポーツホールは最適な例のひとつです。そのモダンで有機的なデザインとサステナビリティに基づいた建築から竣工から7年経った今でも多くのファンを魅了しています。

近代的な要素を残しつつ、土や竹でできた周辺校舎や自然環境との調和が設計条件であったこの施設では、建築素材に竹を使用することで上記の課題をクリアしながら二酸化炭素排出量も抑え、よりグリーンな施設を生み出すことに成功しています。

出典:https://www.archdaily.com/877165/bamboo-sports-hall-for-panyaden-international-school-chiangmai-life-construction

継承され続ける日本の伝統工芸品

日本でも一部地域を除き幅広く育ってきた竹は、長年にわたり建築資材や生活用品、工芸品、竹炭などに利用されてきました。しかし近年では安価な代替資材の誕生や竹の消費量が減少、また管理が行き届かない放置竹林も年々増加したことで、従来の日本の竹職人たちも減少傾向にあります。
一方で、その地で築かれた伝統を守り抜くために職人たちは力強く紡いでゆくのです。

現代の日本で多くみられる伝統的な竹の使用用途は、竹を加工し、竹ひごを編み込んで作る工芸品が主です。経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されている竹工品は7つの地域で製作されています。日本ならではの繊細さを感じる竹細工も、地域によって製作種類や編み方は異なります。それぞれを見比べてお気に入りの竹細工を見つけてみるのも面白いかもしれません。

アートにもなるハイレベルな竹細工技術

前述の通り、日本の竹細工はその繊細さと優美さが世界的に見ても高く評価されています。200以上の編み方を操り作り出される竹細工は、今や空間を彩るアートとしても使われています。

京都で活動する工芸作家が作り出すのは、竹ひごを用いて描き出す繊細な模様の竹細工。「六つ目編み」というシンプルな編み方に、糸のように細い竹ひごを刺しゅうのように細かく編み込み、花柄のデザインを生み出しています。

廃材を活用した新たな未来へ

竹の使い道は現在も進化し続けています。
処分されるはずの竹を活用し竹紙を生産する企業や、それをさらに活用し、竹紙ストローやハンガーなどの様々なアイディアを生み出す取り組みが近年活発に行われています。
同様に廃材を活用した取り組みとして、デザイン性の高い家具を製作する企業もあります。
このように従来の用途にとらわれない手法で竹は大切な資源として活用されています。

サステナブルな素材として世界から注目を集める竹材。
強度や耐久性を兼ね備えながらしなやかに曲がる竹材は建築のみならず、私たちの生活をより豊かにするために、日用品として、またアートとして、身近に多く使われています。
その竹材を活用したアイディアにまだまだ目が離せません。

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