アーティスト南依岐の個展「藝核一如」をニューヨークの GOCA by Garde で開催―Art, Air, and Algorithms: A Night in Chelsea

ニューヨークのアート界が最も活気づく5月、Frieze、Independent、NADAといった主要フェアが街を彩るなか、GOCA by GardeはFuture Fairへの出展と並行し、チェルシーのギャラリースペースにて南依岐の個展「藝核一如(Gei-Kaku Ichinyo)」を開催した。そのオープニング・レセプションは、まさに今季のアートシーンのハイライトのひとつとして、華やかに幕を開けたと言える。

ギャラリー前のストリートには、ドレスアップしたニューヨーカーたちが続々と現れ、初夏の夜風とともに洗練された雰囲気が流れていた。ハイライン直下、建築的に整った白い空間に次々と足を踏み入れるのは、コレクターやギャラリスト、そしてアートフェア帰りのキュレーター、アーティストなどのアートワールドの関係者のみならず、新しいもの好きなニューヨーカーたちだ。フロアには英語と時折日本語が入り混じり、GOCAのグローバルな存在感を強く印象づける光景が広がっていた。

特に印象的だったのは、Friezeに立ち寄ったであろう(持っている紙袋を見ればわかるのだが)一団が、空間に一歩足を踏み入れた瞬間に見せた微笑みと驚きだ。彼らは作品の前に立ち止まりながらも、空間の構成や会場全体の空気感に強く惹きつけられている様子だった。アルコールを片手にアートについて語り合う声は絶えず、緊張感に包まれたアートフェアとはまた異なる空気感と、それでいてリラックスした時間が流れていた。

GOCAのニューヨークでの関係者も多く訪れ、ミッドタウンの企業文化とアートとの新しい関係性について話す姿が見られた。日本からは南と親交のある百貨店関係者やコレクターたちも顔を見せ、作品とともに南の思想や「藝術の核」への取り組みに関心が集まった。

この夜、南の展示は「作品を観に行く」という枠を越え、贅沢な空間を用いた作品構成とともに「今のニューヨークを体感する」ためのサロンのような役割を果たしていた。人と人が出会い、言葉と視線が交わされる——その穏やかなエネルギーに満ちた空間は、まさに今、この都市に求められている芸術、そして人との関わり方を象徴していたのではないだろうか。南の二項対立を超え、調和を志向しようとする東洋思想の優しい空気が会場に満ちていたこともあるだろう。

文化、言語、価値観を越えてひとつの場を共有する。南のオープニングは、それを体現した一夜となった。

藝核一如(Gei-Kaku Ichinyo / Art Core Oneness)

会期:2025年5月8日(木)~6月28日(土)
会場:515 W 23rd St, New York, NY 10011
ウェブサイト:goca.gallery
 インスタグラム:@goca.garde

「アーティスト南依岐の個展「藝核一如」をニューヨークの GOCA by Garde で開催―Art, Air, and Algorithms: A Night in Chelsea」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: GOCA by Garde――GARDEが創出するNYのアート空間、最新展示を現地より - Garde Design Magazine

コメントは受け付けていません。

Scroll to Top