ポストコロナのオフィスデザインについて ~エグゼクティブ オフィサー兼ディレクター クリストファー・ブルックス 4/21「 Roundtable by The Japan Times」より~

先日行われたThe Japan Times主催のトークイベント「Roundtable by The Japan Times」に、GARDE エグゼクティブ オフィサー兼ディレクター クリストファー・ブルックスがゲストスピーカーとして登壇。数々のオフィスデザインを手掛けてきた経験を踏まえて、彼が考えるポストコロナのオフィスデザインについて語りました。

世界中が新型コロナウィルスとの戦いを余儀なくされ、彼はワーカーがオフィスに求めるものが確実に様変わりしているのを感じると言います。単に機能的であるだけでなく、そこで何をするのかがより重要になり、同僚とは単に同じ空間にいることではなく精神的なつながりを求めているのだと。 また一方でABW(Activity-based Working)も進んでいます。従来のオフィスは部署ごとに区切られ、その限られたスペースで作業するのが一般的でしたが、今やその区別や境界をつくる必要がなくなり、デスクからの〝解放″が自然な流れであることに気付いたと言います。 ABWによって働く人が何をする場所なのかによってオフィスはデザインされ、100%リモートワークも可能になり、ますます効率的に働くことができるようになります。

やがてオフィスは、チームでの共同作業やコミュニケーションの場となり、集中して作業を行うのは自宅やオフィス以外の場所になっていくことでしょう。 しかし一方で、同僚の存在の重要性も決して忘れてはならず、それは組織の一員であるという実感を持つことに他なりません。孤立感にさいなまれることのないよう、一定の頻度で同僚とコミュニケーションをとることはとても重要です。

またリモートワークにも慣れてきた人の中には、家賃が安く、リラックスしたライフスタイルを楽しめるエリアに引っ越す人などもいるようです。しかし日本の住居は一般的に狭いことも多く、仕事は家の外でやりたいと思う人も一定数存在します。 そんな流れを受けて、WeWorkが運営するような〝コワーキングスペース″も広がりました。が、もちろん数にも規模にも限りがあるので、スタッフが簡単に通勤できるサテライトオフィスを置くことを検討している企業もあります。

今後のオフィスデザインにおいて、彼は3つの重要な指針を提示しています。

  1. リモートワークの普及に対応できる、社内のインフラ整備。
  2. 柔軟性のあるオフィスであること。この先コロナの状況がどうなるのか、まだわかりません。様々なシナリオに対応できることが大切です
  3. 社員の新たな評価方法 これまでは出社することが当たり前だったので、オフィスにいることが重要でしたが、今後はパフォーマンスで評価することが必要です。

またコロナ禍において急速に広まったこととして、衛生的で安全な労働環境を提供することも非常に重要なポイントです。換気や空気清浄システムや除菌、フィジカルディスタンスなど、課題は他にも多数あります。

私たちはコロナによって多くの課題を突き付けられました。が、彼はこう言います。「デザインと働き方の変化によって新たなイノベーションを起こすことはできる。なぜならデザインとは、私たちが直面する様々な課題へのソリューションを提供するものだから。」と。

ブルックスが過去に手掛けた、オフィスの交流スペースの一例。雨の季節に咲くアヤメの花をイメージした中心には、模様の入った素朴なロープのコミュニケーションキオスクが置かれています。
Photo Credit:
Nacasa & Partners

クリストファー・ブルックス Christopher Brooks

国際デザイン事業本部長 デザインディレクター AIA(米国建築家協会所属)建築学修士
ホテル・マルコポーロ香港内ダイニングADD、バンダイナムコスタジオ本社等、米国・日本・アジアにおいてオフィス、レジデンシャル、リテール他幅広い分野で実績を積む。アディダスジャパン本社&ショールームでAsia Pacific Property Award 2015を受賞し、メットライフジャパン本社でHerman Miller Liveable Office Award、IDA Gold & Silver awards 2018を受賞。

Sustainable Japan by thejapantimes記事はこちら
https://sustainable.japantimes.com/roundtable/07

アーカイブ動画はこちらから。
https://youtu.be/HH7k9FaXeu8 

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