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Koichi Yamamura Gallery × GOCA by Garde イベントレポート 「Tokyo Gendai (東京現代) 2025」にGOCA by GardeがNYから凱旋出展

世界で今、最も注目される現代アートが一挙に集まる国際アートフェア、Tokyo Gendai (東京現代) 。
会場となったパシフィコ横浜に国内外の超有名ギャラリーが立ち並ぶ中、NYから現地に乗り込んだGOCA by Gardeは、Koichi Yamamura Gallery を共同パートナーに、照屋勇賢氏の作品の展示及び販売を行いました。照屋氏は沖縄とベルリンを活動拠点に沖縄の歴史や制度および地政学、消費主義などをモチーフにウィットで批評的なインスタレーションを制作し、グッゲンハイム美術館やポンピドゥー・センター・メスなど世界各地の美術館や国際展に数多く参加し、国際的に高い評価を得ているアート作家です。

9月11日のVIPプレビューや同日夜の前夜祭(ヴェルニサージュ)では、参加66ギャラリーに多くのアート愛好家や関係者が訪れました。

NYから参加したGOCAのブースへも多くのお客様にお越しいただき、アート販売についても好調な結果となりました。この場を借りて深く御礼申し上げます。

「Tokyo Gendai 2025展示会概要」 (会期終了)

会期:2025年9月11日(木) – 14日(土)
会場:パシフィコ横浜
公式サイト:https://tokyogendai.com/ja/

GARDEと東京モード学園が産学連携 学生デザインをフォートナイトに実装する「デジタルファッションアワード」本格始動

GARDEと東京モード学園は、産学連携による新プロジェクトとして「デジタルファッションアワード」を本格始動いたします。その第一弾イベントとして、2025年10月21日(火)にアワードの中間審査と併せて、無料イベント「ファッションのデジタル開発の今・未来」を東京モード学園Aホールにて開催いたします。

「デジタルファッションアワード」について

近年、ファッション業界では、3D開発ツール「CLO」の導入が進んでいます。しかし、その活用はサンプル作成や社内確認にとどまり、マーケティングやEC、メタバース展開といった新たな収益機会へ十分に結びついていないのが現状です。

GARDEと東京モード学園は、次世代のクリエイターである学生の発想を起点に、デジタル資産の二次活用やマネタイズの可能性を業界に提案します。

今回のアワードでは「Casual Party on Metaverse(メタバース上で行われるカジュアルパーティに着て行く、アバターファッション)」をテーマに、学生から約80点のデザイン画を募集。10作品を選抜・CLOデータ化し、本セミナーでは参加者投票による中間審査を実施します。イベントに参加頂いた方の投票により選ばれた上位5作品は、2026年明けにEpic Gamesが運営するオンラインゲーム「Fortnite(フォートナイト)」に実装され、ゲームとショーを融合させた新たな形のバーチャルランウェイで発表予定です。その中から最優秀作品が決定します。

Fortnite公式サイト:https://www.fortnite.com/

GARDE×東京モード学園 産学連携プロジェクト立ち上げ背景

今回の取り組みは、メタバース時代におけるファッションの新たな可能性を示す、両者の強みを生かしたプロジェクトです。東京モード学園は3Dツール「CLO」を活用した教育課程を整備し、学生にデジタルファッションの実践力を育成しています。卒業後のキャリアもアパレル業界にとどまらず、デジタル・ゲーム・IT分野へ広がりを見据えています。一方GARDEは、世界11拠点での空間デザイン実績に加え、メタバース美術館「COCOWARP」などリアルとデジタルを融合したノウハウを蓄積。本アワードでは作品のフォートナイト実装や会場デザインを担い、衣装のディテールを忠実に再現します。

学生のスキル育成とGARDEの技術力を融合させることで、教育にとどまらない実務レベルのアワードが実現。学生にとっては企業との接点を得る機会となり、業界にとってはデジタル資産活用の新モデルを探る場となります。

メタバース美術館「COCOWARP」公式サイト:https://www.cocowarp.com/

パネルディスカッション「ファッションのデジタル開発の今・未来」

メタバース業界の第一線で活躍するゲストを迎え、「ファッションのデジタル開発の今・未来」をテーマに、業界の最新動向を議論するパネルディスカッションを行います。これまでコスト削減の手段として導入されることが多かった3Dデータや開発ツールを、いかにマーケティングやメタバース展開へと広げ、収益を生み出す資産へ変えていけるか。「その3Dデータ、まだ社内に眠らせていませんか?」「導入の効果を見いだせず、次の一歩を躊躇していませんか?」といった課題に対し、具体的な活用法と新たな収益モデルの可能性を議論します。

デジタルファッションが“収益の柱”となる未来を見据え、業界横断で知見を共有する場となる本イベントは、競争力強化と市場創造を目指す、ファッションDXの次のステージを共に考える絶好の機会です。

パネリスト:CLO Virtual Fashion Japan / EmilyChoi・神山亜未 GARDE/角田拓志

セミナー概要

対象:アパレル企業様、デジタル・メタバース開発関連企業様
開催日時:2025年10月21日(火)13:00~15:00(12:50開場)
開催場所:東京モード学園 Aホール
住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-7-3
アクセス:https://www.mode.ac.jp/tokyo/access

プログラム:
12:50  開場
13:00  挨拶・東京モード学園x株式会社GARDEの取り組み紹介
アワード作品紹介(学生によるプレゼンテーション)
13:30   パネルディスカッション テーマ:「ファッションのデジタル開発の今・未来」
14:10    交流会/アワード中間審査
14:50    閉会挨拶
※プログラムの詳細については変更になる可能性があります。
参加費:無料
参加申し込みフォーム:https://forms.gle/D6f323NEM65WchCs7

※参加ご希望の方は、上記のフォームよりお申込みください。
※定員になり次第、募集を締めさせていただきます

専門学校 東京モード学園について
新宿駅前、徒歩3分。東京モード学園はファッション・デザイン・ビジネスからインテリア、グラフィック、美容業界まで、ひとり1人の個性を見つけ伸ばし、即戦力となるプロを育成する専門学校です。学生の希望する業界のプロへと導く業界直結のカリキュラムで、18年連続※希望者就職率100%を達成。「就職」と「美容師の国家資格」を保証する3大保証制度『完全就職保証制度』『国家資格 合格保証制度』『給与保証制度』は自信の証明です。※2007年度以降の実績です。
専門学校 東京モード学園:https://www.mode.ac.jp/tokyo

GARDEで開催のアートプロジェクト:犬丸暁個展「光たちの庭」 ―光の強いエネルギーを作品に落とし込む―

2025年10月10日(金)から10月22日(水)までGARDE Galleryにてアーティスト犬丸暁による個展「光たちの庭」が開催します。

犬丸は、絵画やドローイング、パフォーマンスやインスタレーションなどの表現方法を用いて“光=触れることのできる物質”と捉えながら『光』という広大で普遍的なテーマと向き合っています。近年、おもに紙に描いた絵の一部をルーペを使って太陽光で焼き焦がす手法のドローイングシリーズや、“色彩=光”と置き換えて顔料を“光の粉”、それをアクリル樹脂と混ぜて作った絵の具を“光のペースト”だと想像して制作した絵画作品シリーズの、ふたつの技法を中心に制作を進めてきました。

ぜひ、この機会にご高覧ください。

アーティストプロフィール

犬丸暁
1984 茨城県つくば市出身
2008 武蔵野美術大学油絵学科修士課程修了
2013 ル・アーブル/ルーアン高等美術学校マスタークラス修了
現在フランス、ルーアンとパリを拠点に活動
Exhibition
2024 「Plantes, Witness of light(植物-光の伝承者たち)」植物園内温室 (クラクフ/波)
2024 「Chambres ardentes(灼熱の部屋)」サン・マクルー教会 (ルーアン/仏)
2023 「Mon Cher Jardin(私の親愛なる庭園へ)」ヴィランドリー城 (ヴィランドリー/仏)
2022 「Cimes et Racines(根と梢)」サン・トゥーアン聖堂 (ルーアン/仏)
2022 「Jardins flottants (たゆたう庭)」ミシェル・シリー美術館 (ヴァランジュヴィル=シュール=メール/仏)
2018 「Botanique (ボタニカル)」リュクサンブール公園内温室 (パリ/仏)
2018 「Langage des fleurs (花言葉)」MOCAK近代美術館 (クラクフ/波)
2016 「Portrait des plantes (植物の肖像)」市立植物園 (ルーアン/仏)
2015 「Kata−D’une lumière à l’autre (光から光へ)」イヴ・クライン資料館 (パリ/仏)
Group Exhibitions
2024 「Spleen of Paris」Tichauer Art Gallery (ティヒ/波)
2021 「Star Makers」Foro Boario 現代美術センター (オリスターノ/伊)
2021 「ROOTS」FLORE Arts Gallery (神戸)
2018 「龍野アートプロジェクトinクラクフ」Mangghaミュージアム (クラクフ/波)
2018 「ファルマコンII」想念庵 (京都)
2013 「龍野アートプロジェクト2013」(龍野)
2013 「興福寺国際美術展」興福寺 (長崎)
Awards
2022 助成金「Bourse Arts visuels」 (セーヌ=マリティム県支給) 2019 第23回アントワーヌ・マラン賞 /3等
2015 助成金「Aide à la création」(DRAC Haute-Normandie支給)
主なアーティスト・イン・レジデンス
2025 Katsurao Collective (福島県葛尾村)
2024 ミシェル・シリー美術館 (ヴァランジュヴィル=シュール=メール/仏)
2015 ヴィラ・カルデロン(ルーヴィエール/仏)
2013 龍野アートプロジェクト2013 (兵庫県たつの市)
2012 龍野アートプロジェクト2012 (兵庫県たつの市)

犬丸暁個展「光たちの庭」開催概要

会期:2025年10月10日(金)-22日(水)
時間:11:00-18:00
場所:GARDE Gallery(東京都港区南青山5-2-1 ALLIANCEビル4F)
休廊:10月18日(土)、日曜日、祝日

世界的メゾンが注目するアーティスト 川人綾 大阪・関西万博迎賓館作品に続く新作個展「Grids of Perception」を ニューヨークのGOCA by Gardeで開催 会期:2025年9月4日(木)~10月25日(土)

GARDEが手掛けるアートギャラリーGOCA by Gardeにて、アーティスト川人綾の米国初となる個展「Grids of Perception」を2025年9月4日(木)から10月25日(土)まで開催いたします。

川人綾(かわとあや)は、グリッド状の絵画のなかに「制御とズレ」というテーマを独自の視点で表現するアーティストです。京都で染織を学んだ経験と、神経科学者である父の影響を背景に、視覚と認知の関係に着目。緻密な手作業から必然的に生じる微細な“ズレ”を美として捉え、グリッド構造と鮮やかな色彩を重ねた絵画作品を制作しています。

川人氏の作品は、錯視効果と幾重にも塗り重ねられた色彩によって、鑑賞者に穏やかなめまいのような感覚を呼び起こし、触覚的で温かみのある幾何学抽象の新たな表現領域を切り拓いています。日本の伝統的な染織技法に影響を受けた手仕事と、神経科学的視点を融合させたその制作プロセスは、工芸・科学・芸術を横断するユニークなアプローチとして高い評価を得ています。

近年では、2025年大阪・関西万博の迎賓館に設置された大規模タペストリー・プロジェクトのデザインディレクターを務めるなど、国内外で注目を集めています。さらに、シャネルによる作品コレクションや、ロンシャンからのコミッションワークも手がけており、東京・銀座の「ロンシャン ラ メゾン銀座」や、オーストリア・ウィーンの「ロンシャン ウィーン」では壁面の一部を彩るダイナミックな展示が常設されるなど、活躍の場を広げています。


本展の見どころ

本展では、日本の伝統的な染織技法と現代神経科学の概念を融合させた抽象的なグリッド表現を通じて、制御とズレの関係性を探求する新作ペインティングを含む約20点を展示し、川人氏の多面的な表現世界を紹介します。 川人氏は、視覚芸術・工芸・科学の境界を横断的に探求することで、私たちに「見る」という行為に内在する不安定さと豊かさを再考するよう促します。

さらに、大阪・関西万博で発表した大規模タペストリーの試作品も合わせて展示します。

Aya Kawato 川人綾、CUT: C/U/T_mcdlv-mcxx_(w)_I、2025、木製パネルにアクリル、撮影:大島拓也 (Northern Studio)
Aya Kawato 川人綾、CUO: C/U/O_mclxv-mclxv_(w)_II、2025、木製パネルにアクリル、撮影:大島拓也 (Northern Studio)
展覧会開催概要

タイトル : 川人綾 個展「Grids of Perception」
期間   :2025年9月4日(木)~10月25日(土)
住所   :GOCA by Garde 515 W 23rd St, New York, NY 10011
入場料  :無料
公式サイト:https://www.goca.gallery/


アーティストプロフィール

川人綾(かわとあや)
1988年奈良県生まれ。京都府在住。神経科学者の父のもと、脳を通して世界を把握しているということを強く意識するようになる。京都で日本の伝統的な染織を学んだ後、パリ国立高等美術学校交換留学を経て、2019年東京藝術大学大学院先端芸術表現科博士後期課程修了。「制御とズレ」をテーマに、日本の伝統的な染織や現代の神経科学を背景にもつ、抽象的なグリッド状のペインティングを中心に制作している。近年個展は、東京オペラシティアートギャラリー、京都市京セラ美術館の他、パリやジュネーブでも開催。また、2024年「カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」ポーラ美術館(神奈川)や2023年「Nippon Mania. Contemporary Art from Japan」Kunsthaus Kaufbeuren(カウフボイレン、ドイツ)、2017年「2074、夢の世界」FIAC 2017 / Grand Palais(パリ、フランス)など、数多くのグループ展に参加。主なコレクションに、シャネル合同会社、東京藝術大学大学美術館。主なコミッションワークに、2025年「2025年 ⼤阪・関⻄万博 迎賓館(⼤阪)」、2021年「ロンシャン ウィーン(ウィーン、オーストリア)」、2020年「メタ・オープン・アーツ・コミッション / フェイスブック(東京)」、2019年「ロンシャン ラ メゾン銀座(東京)」。主な受賞歴に、2018年「野村美術賞 2018」野村財団、2017年「2074、夢の世界グランプリ」コルベール委員会・東京藝術大学、 2016年「第 11回 TAGBOAT AWARD 審査員特別賞 小山登美夫賞」TAGBOAT。
公式サイト:https://ayakawato.com/


GOCA by Garde

GARDEが手掛けるアートギャラリーであるGOCA by Gardeは、ニューヨーク・チェルシー地区に位置する日本およびアジアの現代アートに特化したギャラリー。絵画、彫刻、陶芸を通じて新進気鋭から著名なアーティストを紹介し、文化交流と対話を促進する場としての活用を目指しています。

チェルシー地区は、世界有数のアートとカルチャーの中心地として知られ、現在では約200のギャラリーが集まり、著名アーティストの展示から若手による実験的な作品まで、幅広いアートが展開されています。

そのようなチェルシーという舞台において、GARDEはこれまで築き上げてきた空間デザインのノウハウと、アーティストとのネットワークを最大限に活かし、アートを愛する人々が集い、交流する場を創出します。そして、GOCA by Gardeが生み出す新たなインスピレーションと可能性が、アートを通じて社会にポジティブな影響をもたらすことを期待しています。

Yuya Saito、Shinji Murakami、Hiroshi Masudaがニューヨークから問いかける「開かれた未来」―グループ展「Stand clear of the closing doors, Please」をGOCA by Gardeで開催

GARDEが手掛けるアートギャラリーGOCA by Gardeにて、グループ展「Stand clear of the closing doors, Please」を2025年7月10日(木)から8月27日(水)まで開催中です。

GOCA by Gardeは、日本およびアジアのアーティストを世界へ紹介する拠点として、絵画、彫刻、陶芸など多彩な作品を展示するGARDE初の海外アートギャラリーです。日本およびアジアの現代アートをグローバルに発信する役割を担う、新たな文化発信の場を目指しています。

本展のタイトルは、ニューヨークの地下鉄で日常的に流れるアナウンス「Stand clear of the closing doors, Please(閉まるドアから離れてください)」に由来します。国境や文化、価値観といったさまざまな境界が閉ざされつつある現代において、ニューヨークを拠点に国際的に活動する日本人アーティストYuya Saito、Shinji Murakami、Hiroshi Masudaの3名は、この都市を舞台に「再びドアを開く」ための視座を提示します。グローバルな分断、文化的排他性、ヒト・モノ・情報の移動制限が進行する社会では、目に見えない“ドア”が私たちを幾重にも隔てています。本展は、アートを通してその境界を問い直し、閉じゆく世界における多様性と対話の可能性を探る試みです。

作品の見どころ

Yuya Saito
Yuya Saitoは、スケートボードの「ランプ」が持つ非階層的で民主的な構造に着目し、それを都市批評的な視点で再構築した彫刻作品を展開します。
2011年の東日本大震災による被災経験を契機に「人間と都市の関わり」を探究し続ける彼は、伝統的な曲木技法を用いて「流れ」と「構造」を融合させ、都市に内在する流動的な精神性を可視化します。
本作は、堅牢な制度の中で生きる私たちに、遊ぶ身体を伴いながら自由な空間にアクセスする可能性を示唆します。グラフィティをはじめとするストリートカルチャーが美術史に流入したことで、「高尚なアート」と「大衆文化」の境界は揺らぎました。
Saito氏が提唱する、非階層的かつ非権威的な空間に関する現代的実践「flow-chitecture(フロウキテクチャ)」は、身体的で時空的な「反復」を通じて、美術史に新たな変革をもたらすでしょう。

Shinji Murakami
Shinji Murakamiは、8ビットゲーム文化を基盤とした新しいランドスケープ絵画の開拓者です。
誰もがアクセス可能なビジュアル言語とAtari 2600を駆使し、懐かしさと最先端が交錯する独自の世界観を構築します。鑑賞と参加が共存し、世代や国境を超えて共有される「懐かしさ」と「遊び心」を足がかりに、ポスト・ポップ時代における「普遍性」を問い直します。
今回のモチーフは歌川広重の『名所江戸百景』。ジャポニスムを象徴するこの作品は、西洋の画家たち—ゴッホやホイッスラー—に大きな影響を与えました。
Murakami氏は、この歴史的作品と8ビットゲームを融合させ、ビデオゲームをアートのメディウムへと押し上げながら、新たな風景と体験を創出します。

Hiroshi Masuda
Hiroshi Masudaは、東洋思想とポップカルチャーを融合させ、「人間とは何か」という根源的な問いに愛らしい造形表現で挑むビジュアル・アーティストです。
76カ国を巡った経験を背景に、文化・政治・社会を横断する視点から「人間性」に迫ります。
物理学や哲学を起点に生命を思索する作品は、私たちの身体が分子の絶え間ない入れ替わりで成り立つことを示唆し、仏教的な「無我」「諸行無常」を想起させます。
喜劇と悲劇、正義と不正義などの二項対立を俯瞰的にとらえ、統合を目指す作風は、仏教の「無分別」の精神を視覚化する試みです。
遊び心ある発想の転換から生まれるユーモアは、社会を痛烈に批判しながらも、私たちの立ち位置を揺さぶります。

3人のアーティストはそれぞれ異なる背景とメディアを持ちながら、老若男女が自由にアクセスできる空間、そして避けがたい出入り・流動・接続といった視点に強く共鳴しています。閉鎖的で不寛容になりがちな社会に対し、彼らの作品は静かな警鐘を鳴らします。
Saito氏のランプは都市の中に開かれた構造を象徴し、Masuda氏の作品は生命を構成する分子の絶え間ない循環を描き出します。Murakami氏は、誰にでも開かれた技術と思考法を通じて、新たな視座を提示します。これらは、今日の状況に対し「再びドアを開く」ことを想像させる、柔らかな抵抗のかたちといえるでしょう。
「Stand clear of the closing doors, Please」は、閉じゆく時代において、移動・接続・対話の可能性を取り戻す視座を提供します。絵画・彫刻・デジタルメディアを横断する本展は、視覚体験を超え、私たちが保持してきた世界観そのものを問い直す機会となるでしょう。

オープニングレセプション開催

7月9日(水)・10日(木)には、オープニングレセプションが開催されました。当日は、出展アーティスト3名による挨拶と作品解説が行われ、それぞれの創作に込められた情熱や、作品世界の背景にあるストーリーが来場者と直接共有されました。会場にはアートコレクターやデザイン業界関係者、ニューヨーク在住のクリエイティブ層など約200名の多彩なゲストが集い、洗練されたラグジュアリーな空間に熱気と期待が溢れました。
ケータリングは、日本の食文化を世界に発信する「OYAMADA JAPAN」が担当。創作おにぎりを中心としたメニューが振る舞われ、ニューヨークのアートシーンと日本の食文化が融合する特別なひとときとなりました。
GOCA by Gardeならではの国際的でクールな雰囲気と、作品を間近に体感できる特別な機会は、若手アーティストにとっての憧れの舞台であり、コレクターにとっても投資価値ある作品と出会える注目の場となりました。本展を通じて、ニューヨークで今まさに生まれている文化と表現の最前線を、現地の空気感とともにダイレクトに体感していただけます。
オープニングレセプションの様子は、GARDE公式YouTubeチャンネルでも公開しています。
GARDE公式YouTube:https://youtu.be/d8RbyNfq2yM?feature=shared

展覧会開催概要

タイトル :グループ展「Stand clear of the closing doors, Please」
期間   :2025年7月10日(木)~8月27日(水)
住所   :GOCA by Garde 515 W 23rd St, New York, NY 10011
入場料  :無料
公式サイト:https://www.goca.gallery/

アーティストプロフィール

Yuya Saito
日本出身、ニューヨーク在住のアーティスト。
14歳でスケートボードと出会い、音楽・デザイン・ファッションを含むストリートカルチャーや都市文化に傾倒。スケートボードランプに着想を得た曲線的な造形を特徴とし、都市とストリートが持つ混沌性や無常性を抽象的なフォルムとして表現する。伝統的な曲木家具の技法や建築構造を組み合わせることで、アート史やストリートカルチャーの延長に留まらない、新たな都市表現のヴィジュアル・ランゲージを模索している。
公式サイト:https://www.yuyas.net/

Shinji Murakami
日本出身、ニューヨーク在住のアーティスト。
任天堂「ゲーム&ウォッチ」や「ゲームボーイ」を生んだ横井軍平の哲学「枯れた技術の水平思考」に着想を得て、8ビットゲームに見られるピクセル表現を出発点とした作品制作を行っている。2021年にはAtari 2600用のオリジナルゲームを自ら開発し、そのゲームを起点に彫刻・絵画・LEDライト作品を制作。AR技術を用いて作品上にポータルを開き、鑑賞者自身を作品世界に巻き込む展示体験を実現している。また、SalesforceやThe Standard Hotelなど、世界20か国以上でパブリックと直接関わるインスタレーションを展開。普遍的なモチーフと文化的文脈に応答する要素を、ミニマルかつポストポップな手法で再解釈し、現代アートにおけるアーティストの役割を再考している。
公式サイト:https://murakamishinji.com/

Hiroshi Masuda
日本出身、ニューヨーク在住のアーティスト。
広告業界からウォータースポーツ業界へ転身し、その後、人間への興味から2017 年に世界一周の旅を開始。1カ国目で睡眠薬強盗により100万円失ったことからストリート・ポートレートを描き始め、それがアーティスト活動の原点となる。2018 年にはドローイングを通じて 76 か国を巡り、帰国後は MAGNET by SHIBUYA109 の巨大ビジュアル制作や原宿での個展「Water」を開催。作品はシンガーソングライターSia のコレクションにも収蔵された。2021 年には adidas Originals とのコラボレーションや UNIQLO×MoMAのUTGP2020 での受賞など、国際的評価を得ている。現在はニューヨークを拠点に、「人間とは何か」という根源的な問いを作品を通じて探求し続けている。
公式サイト:https://hiroshimasuda.com/

GOCA by Garde

GARDEが手掛けるアートギャラリーであるGOCA by Gardeは、ニューヨーク・チェルシー地区に位置する日本およびアジアの現代アートに特化したギャラリー。絵画、彫刻、陶芸を通じて新進気鋭から著名なアーティストを紹介し、文化交流と対話を促進する場としての活用を目指しています。

チェルシー地区は、世界有数のアートとカルチャーの中心地として知られ、現在では約200のギャラリーが集まり、著名アーティストの展示から若手による実験的な作品まで、幅広いアートが展開されています。
そのようなチェルシーという舞台において、GARDEはこれまで築き上げてきた空間デザインのノウハウと、アーティストとのネットワークを最大限に活かし、アートを愛する人々が集い、交流する場を創出します。そして、GOCA by Gardeが生み出す新たなインスピレーションと可能性が、アートを通じて社会にポジティブな影響をもたらすことを期待しています。

作品画像クレジット:©MC3 Photo

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