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世界的メゾンが注目するアーティスト 川人綾 大阪・関西万博迎賓館作品に続く新作個展「Grids of Perception」を ニューヨークのGOCA by Gardeで開催 会期:2025年9月4日(木)~10月25日(土)

GARDEが手掛けるアートギャラリーGOCA by Gardeにて、アーティスト川人綾の米国初となる個展「Grids of Perception」を2025年9月4日(木)から10月25日(土)まで開催いたします。

川人綾(かわとあや)は、グリッド状の絵画のなかに「制御とズレ」というテーマを独自の視点で表現するアーティストです。京都で染織を学んだ経験と、神経科学者である父の影響を背景に、視覚と認知の関係に着目。緻密な手作業から必然的に生じる微細な“ズレ”を美として捉え、グリッド構造と鮮やかな色彩を重ねた絵画作品を制作しています。

川人氏の作品は、錯視効果と幾重にも塗り重ねられた色彩によって、鑑賞者に穏やかなめまいのような感覚を呼び起こし、触覚的で温かみのある幾何学抽象の新たな表現領域を切り拓いています。日本の伝統的な染織技法に影響を受けた手仕事と、神経科学的視点を融合させたその制作プロセスは、工芸・科学・芸術を横断するユニークなアプローチとして高い評価を得ています。

近年では、2025年大阪・関西万博の迎賓館に設置された大規模タペストリー・プロジェクトのデザインディレクターを務めるなど、国内外で注目を集めています。さらに、シャネルによる作品コレクションや、ロンシャンからのコミッションワークも手がけており、東京・銀座の「ロンシャン ラ メゾン銀座」や、オーストリア・ウィーンの「ロンシャン ウィーン」では壁面の一部を彩るダイナミックな展示が常設されるなど、活躍の場を広げています。


本展の見どころ

本展では、日本の伝統的な染織技法と現代神経科学の概念を融合させた抽象的なグリッド表現を通じて、制御とズレの関係性を探求する新作ペインティングを含む約20点を展示し、川人氏の多面的な表現世界を紹介します。 川人氏は、視覚芸術・工芸・科学の境界を横断的に探求することで、私たちに「見る」という行為に内在する不安定さと豊かさを再考するよう促します。

さらに、大阪・関西万博で発表した大規模タペストリーの試作品も合わせて展示します。

Aya Kawato 川人綾、CUT: C/U/T_mcdlv-mcxx_(w)_I、2025、木製パネルにアクリル、撮影:大島拓也 (Northern Studio)
Aya Kawato 川人綾、CUO: C/U/O_mclxv-mclxv_(w)_II、2025、木製パネルにアクリル、撮影:大島拓也 (Northern Studio)
展覧会開催概要

タイトル : 川人綾 個展「Grids of Perception」
期間   :2025年9月4日(木)~10月25日(土)
住所   :GOCA by Garde 515 W 23rd St, New York, NY 10011
入場料  :無料
公式サイト:https://www.goca.gallery/


アーティストプロフィール

川人綾(かわとあや)
1988年奈良県生まれ。京都府在住。神経科学者の父のもと、脳を通して世界を把握しているということを強く意識するようになる。京都で日本の伝統的な染織を学んだ後、パリ国立高等美術学校交換留学を経て、2019年東京藝術大学大学院先端芸術表現科博士後期課程修了。「制御とズレ」をテーマに、日本の伝統的な染織や現代の神経科学を背景にもつ、抽象的なグリッド状のペインティングを中心に制作している。近年個展は、東京オペラシティアートギャラリー、京都市京セラ美術館の他、パリやジュネーブでも開催。また、2024年「カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」ポーラ美術館(神奈川)や2023年「Nippon Mania. Contemporary Art from Japan」Kunsthaus Kaufbeuren(カウフボイレン、ドイツ)、2017年「2074、夢の世界」FIAC 2017 / Grand Palais(パリ、フランス)など、数多くのグループ展に参加。主なコレクションに、シャネル合同会社、東京藝術大学大学美術館。主なコミッションワークに、2025年「2025年 ⼤阪・関⻄万博 迎賓館(⼤阪)」、2021年「ロンシャン ウィーン(ウィーン、オーストリア)」、2020年「メタ・オープン・アーツ・コミッション / フェイスブック(東京)」、2019年「ロンシャン ラ メゾン銀座(東京)」。主な受賞歴に、2018年「野村美術賞 2018」野村財団、2017年「2074、夢の世界グランプリ」コルベール委員会・東京藝術大学、 2016年「第 11回 TAGBOAT AWARD 審査員特別賞 小山登美夫賞」TAGBOAT。
公式サイト:https://ayakawato.com/


GOCA by Garde

GARDEが手掛けるアートギャラリーであるGOCA by Gardeは、ニューヨーク・チェルシー地区に位置する日本およびアジアの現代アートに特化したギャラリー。絵画、彫刻、陶芸を通じて新進気鋭から著名なアーティストを紹介し、文化交流と対話を促進する場としての活用を目指しています。

チェルシー地区は、世界有数のアートとカルチャーの中心地として知られ、現在では約200のギャラリーが集まり、著名アーティストの展示から若手による実験的な作品まで、幅広いアートが展開されています。

そのようなチェルシーという舞台において、GARDEはこれまで築き上げてきた空間デザインのノウハウと、アーティストとのネットワークを最大限に活かし、アートを愛する人々が集い、交流する場を創出します。そして、GOCA by Gardeが生み出す新たなインスピレーションと可能性が、アートを通じて社会にポジティブな影響をもたらすことを期待しています。

Yuya Saito、Shinji Murakami、Hiroshi Masudaがニューヨークから問いかける「開かれた未来」―グループ展「Stand clear of the closing doors, Please」をGOCA by Gardeで開催

GARDEが手掛けるアートギャラリーGOCA by Gardeにて、グループ展「Stand clear of the closing doors, Please」を2025年7月10日(木)から8月27日(水)まで開催中です。

GOCA by Gardeは、日本およびアジアのアーティストを世界へ紹介する拠点として、絵画、彫刻、陶芸など多彩な作品を展示するGARDE初の海外アートギャラリーです。日本およびアジアの現代アートをグローバルに発信する役割を担う、新たな文化発信の場を目指しています。

本展のタイトルは、ニューヨークの地下鉄で日常的に流れるアナウンス「Stand clear of the closing doors, Please(閉まるドアから離れてください)」に由来します。国境や文化、価値観といったさまざまな境界が閉ざされつつある現代において、ニューヨークを拠点に国際的に活動する日本人アーティストYuya Saito、Shinji Murakami、Hiroshi Masudaの3名は、この都市を舞台に「再びドアを開く」ための視座を提示します。グローバルな分断、文化的排他性、ヒト・モノ・情報の移動制限が進行する社会では、目に見えない“ドア”が私たちを幾重にも隔てています。本展は、アートを通してその境界を問い直し、閉じゆく世界における多様性と対話の可能性を探る試みです。

作品の見どころ

Yuya Saito
Yuya Saitoは、スケートボードの「ランプ」が持つ非階層的で民主的な構造に着目し、それを都市批評的な視点で再構築した彫刻作品を展開します。
2011年の東日本大震災による被災経験を契機に「人間と都市の関わり」を探究し続ける彼は、伝統的な曲木技法を用いて「流れ」と「構造」を融合させ、都市に内在する流動的な精神性を可視化します。
本作は、堅牢な制度の中で生きる私たちに、遊ぶ身体を伴いながら自由な空間にアクセスする可能性を示唆します。グラフィティをはじめとするストリートカルチャーが美術史に流入したことで、「高尚なアート」と「大衆文化」の境界は揺らぎました。
Saito氏が提唱する、非階層的かつ非権威的な空間に関する現代的実践「flow-chitecture(フロウキテクチャ)」は、身体的で時空的な「反復」を通じて、美術史に新たな変革をもたらすでしょう。

Shinji Murakami
Shinji Murakamiは、8ビットゲーム文化を基盤とした新しいランドスケープ絵画の開拓者です。
誰もがアクセス可能なビジュアル言語とAtari 2600を駆使し、懐かしさと最先端が交錯する独自の世界観を構築します。鑑賞と参加が共存し、世代や国境を超えて共有される「懐かしさ」と「遊び心」を足がかりに、ポスト・ポップ時代における「普遍性」を問い直します。
今回のモチーフは歌川広重の『名所江戸百景』。ジャポニスムを象徴するこの作品は、西洋の画家たち—ゴッホやホイッスラー—に大きな影響を与えました。
Murakami氏は、この歴史的作品と8ビットゲームを融合させ、ビデオゲームをアートのメディウムへと押し上げながら、新たな風景と体験を創出します。

Hiroshi Masuda
Hiroshi Masudaは、東洋思想とポップカルチャーを融合させ、「人間とは何か」という根源的な問いに愛らしい造形表現で挑むビジュアル・アーティストです。
76カ国を巡った経験を背景に、文化・政治・社会を横断する視点から「人間性」に迫ります。
物理学や哲学を起点に生命を思索する作品は、私たちの身体が分子の絶え間ない入れ替わりで成り立つことを示唆し、仏教的な「無我」「諸行無常」を想起させます。
喜劇と悲劇、正義と不正義などの二項対立を俯瞰的にとらえ、統合を目指す作風は、仏教の「無分別」の精神を視覚化する試みです。
遊び心ある発想の転換から生まれるユーモアは、社会を痛烈に批判しながらも、私たちの立ち位置を揺さぶります。

3人のアーティストはそれぞれ異なる背景とメディアを持ちながら、老若男女が自由にアクセスできる空間、そして避けがたい出入り・流動・接続といった視点に強く共鳴しています。閉鎖的で不寛容になりがちな社会に対し、彼らの作品は静かな警鐘を鳴らします。
Saito氏のランプは都市の中に開かれた構造を象徴し、Masuda氏の作品は生命を構成する分子の絶え間ない循環を描き出します。Murakami氏は、誰にでも開かれた技術と思考法を通じて、新たな視座を提示します。これらは、今日の状況に対し「再びドアを開く」ことを想像させる、柔らかな抵抗のかたちといえるでしょう。
「Stand clear of the closing doors, Please」は、閉じゆく時代において、移動・接続・対話の可能性を取り戻す視座を提供します。絵画・彫刻・デジタルメディアを横断する本展は、視覚体験を超え、私たちが保持してきた世界観そのものを問い直す機会となるでしょう。

オープニングレセプション開催

7月9日(水)・10日(木)には、オープニングレセプションが開催されました。当日は、出展アーティスト3名による挨拶と作品解説が行われ、それぞれの創作に込められた情熱や、作品世界の背景にあるストーリーが来場者と直接共有されました。会場にはアートコレクターやデザイン業界関係者、ニューヨーク在住のクリエイティブ層など約200名の多彩なゲストが集い、洗練されたラグジュアリーな空間に熱気と期待が溢れました。
ケータリングは、日本の食文化を世界に発信する「OYAMADA JAPAN」が担当。創作おにぎりを中心としたメニューが振る舞われ、ニューヨークのアートシーンと日本の食文化が融合する特別なひとときとなりました。
GOCA by Gardeならではの国際的でクールな雰囲気と、作品を間近に体感できる特別な機会は、若手アーティストにとっての憧れの舞台であり、コレクターにとっても投資価値ある作品と出会える注目の場となりました。本展を通じて、ニューヨークで今まさに生まれている文化と表現の最前線を、現地の空気感とともにダイレクトに体感していただけます。
オープニングレセプションの様子は、GARDE公式YouTubeチャンネルでも公開しています。
GARDE公式YouTube:https://youtu.be/d8RbyNfq2yM?feature=shared

展覧会開催概要

タイトル :グループ展「Stand clear of the closing doors, Please」
期間   :2025年7月10日(木)~8月27日(水)
住所   :GOCA by Garde 515 W 23rd St, New York, NY 10011
入場料  :無料
公式サイト:https://www.goca.gallery/

アーティストプロフィール

Yuya Saito
日本出身、ニューヨーク在住のアーティスト。
14歳でスケートボードと出会い、音楽・デザイン・ファッションを含むストリートカルチャーや都市文化に傾倒。スケートボードランプに着想を得た曲線的な造形を特徴とし、都市とストリートが持つ混沌性や無常性を抽象的なフォルムとして表現する。伝統的な曲木家具の技法や建築構造を組み合わせることで、アート史やストリートカルチャーの延長に留まらない、新たな都市表現のヴィジュアル・ランゲージを模索している。
公式サイト:https://www.yuyas.net/

Shinji Murakami
日本出身、ニューヨーク在住のアーティスト。
任天堂「ゲーム&ウォッチ」や「ゲームボーイ」を生んだ横井軍平の哲学「枯れた技術の水平思考」に着想を得て、8ビットゲームに見られるピクセル表現を出発点とした作品制作を行っている。2021年にはAtari 2600用のオリジナルゲームを自ら開発し、そのゲームを起点に彫刻・絵画・LEDライト作品を制作。AR技術を用いて作品上にポータルを開き、鑑賞者自身を作品世界に巻き込む展示体験を実現している。また、SalesforceやThe Standard Hotelなど、世界20か国以上でパブリックと直接関わるインスタレーションを展開。普遍的なモチーフと文化的文脈に応答する要素を、ミニマルかつポストポップな手法で再解釈し、現代アートにおけるアーティストの役割を再考している。
公式サイト:https://murakamishinji.com/

Hiroshi Masuda
日本出身、ニューヨーク在住のアーティスト。
広告業界からウォータースポーツ業界へ転身し、その後、人間への興味から2017 年に世界一周の旅を開始。1カ国目で睡眠薬強盗により100万円失ったことからストリート・ポートレートを描き始め、それがアーティスト活動の原点となる。2018 年にはドローイングを通じて 76 か国を巡り、帰国後は MAGNET by SHIBUYA109 の巨大ビジュアル制作や原宿での個展「Water」を開催。作品はシンガーソングライターSia のコレクションにも収蔵された。2021 年には adidas Originals とのコラボレーションや UNIQLO×MoMAのUTGP2020 での受賞など、国際的評価を得ている。現在はニューヨークを拠点に、「人間とは何か」という根源的な問いを作品を通じて探求し続けている。
公式サイト:https://hiroshimasuda.com/

GOCA by Garde

GARDEが手掛けるアートギャラリーであるGOCA by Gardeは、ニューヨーク・チェルシー地区に位置する日本およびアジアの現代アートに特化したギャラリー。絵画、彫刻、陶芸を通じて新進気鋭から著名なアーティストを紹介し、文化交流と対話を促進する場としての活用を目指しています。

チェルシー地区は、世界有数のアートとカルチャーの中心地として知られ、現在では約200のギャラリーが集まり、著名アーティストの展示から若手による実験的な作品まで、幅広いアートが展開されています。
そのようなチェルシーという舞台において、GARDEはこれまで築き上げてきた空間デザインのノウハウと、アーティストとのネットワークを最大限に活かし、アートを愛する人々が集い、交流する場を創出します。そして、GOCA by Gardeが生み出す新たなインスピレーションと可能性が、アートを通じて社会にポジティブな影響をもたらすことを期待しています。

作品画像クレジット:©MC3 Photo

GARDEで開催のアートプロジェクト:HARUNA SHIKATA 個展「Overwrite」

2025年8月1日(金)から8月9日(土)までGARDE GalleryにてアーティストHARUNA SHIKATAによる個展「Overwrite(オーバーライト)」が開催。本展では、SHIKATAが「情報や感情、自己体験への上書き」というテーマのもと、記憶や思考を肯定的に再構築することを試みたミクストメディア作品を展示いたします。

本展「Overwrite」は、私たちの内面に蓄積された出来事や記憶に対し、否定ではなく肯定的な「編集」や「加工」を行うという姿勢から生まれた作品群で構成されています。SHIKATAは、自らの実体験に基づいて、脳内に保存されたまま更新されない情報が、時にネガティブな感情の引き金になることに着目し、それらを自らの手で「上書き」するという表現手法に取り組んでいます。

展示作品は、写真・文字・イラストレーション・ドローイングなどをベースに、アナログとデジタルの加工・編集を繰り返し、さらに銀箔やUVインクジェット出力、手描きのペイントなど多様なマテリアルを重ねて制作されています。これにより、記憶の層が視覚的に再構成される過程が示され、観る者に新たな気づきをもたらします。本展で提示される「Overwrite(上書き)」という行為は、過去の記憶や情報を消去するのではなく、そこに新しい意味や価値を重ねていく創造的な営みとして提案されており、現代社会における前向きな自己変容の可能性を問いかけます。

HARUNA SHIKATA プロフィール

1996年神奈川県生まれ。2022年に桑沢デザイン研究所を卒業し、作家活動を開始しました。「Overwrite(情報や感情、自己体験への上書き)」をコンセプトに、記憶や情報に対する肯定的な加工・編集を行うミクストメディア作品を制作しています。自身の体験や感情に紐付いた写真・文字・ドローイングなどの素材をもとに、銀箔やUVインクジェット、ペイントなど多層的な技法で「上書き」する表現を通して、記憶の再構築と自己変容の可能性を探求しています。

Exhibition

2025年6月 「Tone」 YOD KYOTO
2025年4月 「tagboatARTFAIR2025」
2025年4月 「ART@FUKUOKA」
2025年1月 「What You See Underneath」 YOD TOKYO
2025年1月 『100人10』審査員賞
2024年6月 個展「Trajectry」 gallery201
2023年12月 「WHATCAFEEXHIBITION vol.32」 Award
2023年11月 『美の起原展2023』 奨励賞
2023年8月 『Independent Tokyo 2023』 タグボート特別アワード

Collaboration
2024年6月 Quarter Room
2023年12月 MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA

HARUNA SHIKATA 個展「Overwrite」開催概要

会期:2025年8月1日(金)~8月9日(土)
時間:11:00〜18:00(最終日は16:00まで)
会場:GARDE Gallery(東京都港区南青山5-2-1 NBF ALLIANCEビル4F)
入場:無料
URL:https://tinyurl.com/46w4d5yb
販売予定URL:https://www.art-adf.jp/

GOCA by Garde――GARDEが創出するNYのアート空間、最新展示を現地より

日本およびアジアのアーティストを世界へ紹介する拠点として、絵画、彫刻、陶芸など多彩な作品を展示するGARDE 初の海外アートギャラリーGOCA by Garde。
5月、6月に開催した個展およびアートフェア参加の様子をニューヨーク・チェルシーからお届けします。

南依岐 個展「藝核一如(Gei-Kaku Ichinyo)」

ニューヨークのアート界が最も活気づく5月、GOCA by Gardeはチェルシーのギャラリースペースにて南依岐の個展「藝核一如(Gei-Kaku Ichinyo)」を5月8日~6月28日まで開催しました。

コレクターやギャラリスト、そしてアートフェア帰りのキュレーター、アーティストなどのアートワールドの関係者のみならず、新しいもの好きなニューヨーカーたちで賑わい、フロアには英語と時折日本語も入り混じり、GOCAのグローバルな存在感を強く印象づける展示会となりました。

南依岐 個展「藝核一如(Gei-Kaku Ichinyo)」の様子は以下よりご確認いただけます。
https://www.gardedesignmagazine.com/goca-ibuki-minami-gei-kaku-ichinyo-report/


Future Fair 2025

ニューヨーク・チェルシー地区のChelsea Industrial,(535 W 28th Street)にて、2025年5月7日~10日にFuture Fair 2025が開催。「Neo Japanese Pulse : Reimagining a Cultural Loop」をテーマに掲げ、川人綾(Aya Kawata)と奥田雄太(Yuta Okuda)の2名による二人展形式で参加しました。

Future Fairは2020年にスタートして以降、選考性、平等性、対話性を重視したキュレーション型フェアとして、新進ギャラリーによる挑戦の場であると同時に、今や次世代の国際コンテンポラリーアートシーンを形成する最重要拠点のひとつとされています。

世界各地から厳選された67のギャラリーの中で、日本から唯一選出されたGOCA by Garde。展示詳細は以下よりご覧ください。
https://www.gardedesignmagazine.com/goca-future-fair-2025/


GOCA by Gardeでは引き続きギャラリーでの個展およびグループ展の開催に加え、アートフェアの参加を計画しています。
最新情報はGARDE ニュースレターまたは公式HPにてご確認ください。
>公式HP・ニュースレター登録フォーム

GOCA by Garde

GARDEが手掛けるアートギャラリーであるGOCA by Gardeは、ニューヨーク・チェルシー地区に位置する日本およびアジアの現代アートに特化したギャラリー。絵画、彫刻、陶芸を通じて新進気鋭から著名なアーティストを紹介し、文化交流と対話を促進する場としての活用を目指しています。

チェルシー地区は、世界有数のアートとカルチャーの中心地として知られ、現在では約200のギャラリーが集まり、著名アーティストの展示から若手による実験的な作品まで、幅広いアートが展開されています。

そのようなチェルシーという舞台において、GARDEはこれまで築き上げてきた空間デザインのノウハウと、アーティストとのネットワークを最大限に活かし、アートを愛する人々が集い、交流する場を創出します。そして、GOCA by Gardeが生み出す新たなインスピレーションと可能性が、アートを通じて社会にポジティブな影響をもたらすことを期待しています。

新たなるニッポンの衝撃!ニューヨークのアートシーンでGOCAが鮮烈デビュー! Neo Japanese Pulse: GOCA Ignites a New Cultural Loop at Future Fair New York

2025年5月初旬、Met Galaにはじまり、洗練されたファッションに身を包んだニューヨーカーたちがまちを闊歩する。NYフリーズやTEFAF、INDEPENDENTやNADAなど、多くのアートフェアが集中して開催されるこのスペシャルウィークは、ここにいるだけで華やかでラグジュアリーな気分になる。

アートの鼓動が響くニューヨーク・チェルシー地区のChelsea Industrial,(535 W 28th Street)にて、2025年のFuture Fair が開催された。新進ギャラリーによる挑戦の場であると同時に、世界中から集まるキュレーター、コレクター、美術批評家が集うこのフェアは、今や次世代の国際コンテンポラリーアートシーンを形成する最重要拠点のひとつとされている。

Future Fairとは
Future Fairは2020年にスタートして以降、選考性、平等性、対話性を重視したキュレーション型フェアとして急成長を遂げてきた。単なる販売会場としてのアートフェアではなく、出展者間の協働を促す仕組みやコミュニティ主導の運営に基づいた選考基準により、今日のアートフェアシーンにおける注目すべきギャラリーが厳選され、すでに国際的評価と権威性すら帯びている。
2025年は世界各地から厳選された67ギャラリーが集結した。その中で日本から唯一選出されたのがGOCA(Gallery of Contemporary Art)by Gardeである。

GOCAの挑戦「Neo Japanese Pulse」
GOCAは、ニューヨークを拠点とし日本人およびアジアのアーティストに焦点を当て世界にその価値を届けるミッションを有したギャラリーである。今回のFuture Fairでは「Neo Japanese Pulse : Reimagining a Cultural Loop」をテーマに掲げ、川人綾(Aya Kawata)と奥田雄太(Yuta Okuda)の2名による二人展形式で参加した。

この展示が提起したのは、かつて19世紀後半にヨーロッパを席巻したジャポニスムの再解釈=「ネオジャポニズム」である。欧州からの関心として始まった日本文化の受容は、20世紀を通じアメリカへも流入した。ポストモダン以降は逆に西洋で培われた日本文化が新たなかたちとして日本へと流入してくるという循環的現象を生んだ。この文化のループのなかで、日本のあらゆる芸術表現は独自の「ガラパゴス的進化」を遂げたともいえる。
GOCAが掲げた「Neo Japanese Pulse」は、こうした歴史的軌跡を踏まえたうえで、現代日本のアーティストたちがどのように伝統と現代性を融合させ、新たな美的表現を立ち上げているのかを国際舞台に提示するものであった。

川人綾:脳科学と染織が交差する、繊細なグリッド
川人綾は、日本の伝統的な染織技術をバックグラウンドに持ちつつ、視覚的錯覚と神経科学的認知の融合を探求する作家である。神経科学者である父親の影響を受け、彼女の作品は視覚体験のなかに制御とズレの美を発明する。
抽象的なグリッド状の画面は、工芸的な手仕事と知的な構造が見事に溶け合い、鑑賞者に柔らかな眩暈と深い没入をもたらす。まさに錯視を中心にイリュージョニズムを展開してきた西洋のアートヒストリーに「科学と工芸の融合」という未開の領域で新しい芸術表現を生み出す存在だ。

奥田雄太:色彩の爆発と線の精緻が咲かせる花、感謝とともに
一方、奥田雄太は極彩色と緻密な描線で構築された独自の花を描くアーティストである。ロンドンでのファッションカルチャーと日本的感性を掛け合わせ、偶然と必然が交差する瞬間から生命の力強さと鮮烈な色彩感覚を掛け合わせ新たな美を創造する。
作品の背後には「感謝」「つながり」「生きる力」といった普遍的な感情があり、それを美と精神性の融合体として視覚化する点において、現代の花鳥画の革新とすらいえる挑戦を体現している。

国際会場の反応と今後の布石
GOCAブースには、幸いにもVIPプレビュー直後からNYにある主要美術館のキュレーター陣をはじめ、国内外のアートフェアおよび現代美術機関ディレクターから国際的な文化アドバイザーや外交官、領事館の文化部門責任者まで、さらには有力アートメディアの関係者や編集者、マーケットの業界関係者、そして当然コレクターやアートコレクション部門責任者などアート界の重鎮たちに訪れていただけた。
Future Fair 会場ではどのブースも常に人だかりができており、GOCA以外のブースにも多くの来場者が詰めかけ、会場全体が活気に包まれていた。ニューヨークやロサンゼルス拠点のギャラリーのみならずアジアやアフリカなどの展示作品の前も賑わいを見せ、熱心に作品を撮影し、ギャラリストと会話を交わす光景が随所に見られた。来場者の多くがコレクターやキュレーターであり、展示内容の興味や関心、フェア自体のキュレーションの質の高さを物語っていた。

川人の作品には「東洋的な繊細さと科学的思考の橋渡し」が、奥田の作品には「プリミティブな美への回帰と未来的な色彩感覚」が感じられるといったコメントが相次ぎ、販売・展示オファーも複数寄せられた。何よりも、GOCAの「文化を一方向に輸出するのではなく、各世界の豊かな循環のなかで再解釈を試みる」という展示コンセプトも、多様性を重視する今のアート界において高く評価された点が象徴的であった。

総括──再編成される「日本」
Future Fairは、もはや単なるアートフェアではない。国境や市場、文化の中心と周縁を再編成する知的実験場である。そこでGOCAが提示した「Neo Japanese Pulse」は、決して日本文化をそのまま誇示するものではなく、変容と循環のなかにある文化の新しい相貌を、世界の観客に紹介し、その内容と吟味を問うものであった。その端緒をチェルシーの一角から作れたことは幸いであり、われわれの大いなる航海がスタートしたと実感した。これからの国際アートシーンにおいて、日本の「次なる衝動」がどこへ向かうのか、今後もGOCAとして検討を重ねていきたい。

Future Fair 2025 概要
会期:2025年5月7日(水)(VIPプレビュー)~5月10日(土)
会場:Chelsea Industrial (535W 28th St, New York, NY 10001),
出展数:67ギャラリー

文=現地特派員 or Kenta Ichinose(GOCAキュレーター)

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