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【Forbes CAREER 転載記事】世界ブランドを日本の地でカタチにする──ローカルアーキテクトが紡ぐ、情緒的経営価値

2025年にForbes CAREERにて公開されたインタビュー記事。編集部の許可を得てGARDE DESIGN MAGAZINEに転載させていただいております。
世界的ラグジュアリーブランドの店舗を手掛けるGARDEで、ブランドの世界観と日本の心地よい空間作りを両立させてきたローカルアーキテクト土屋・中澤が、「空間が創る情緒的経営価値」について語っています。
<以下本文>

表参道・銀座に並ぶ世界的ラグジュアリーブランドの店舗。その優美な空間の裏には、原案デザインやスケッチなどの本国デザインを日本の“場”に適した形で具現化していくローカルアーキテクトの存在がある。ブランドの世界観を守りながら、いかに日本の現場で心地よい空間を生み出していくか。2人のローカルアーキテクトが「空間が創る、情緒的経営価値」の最前線を語り合った。

世界的ラグジュアリーブランドの店舗設計で国内トップシェアを誇るGARDE。ブランド哲学を空間に落とし込む「情緒的経営価値の創造」をキーワードに、リピート率8割の圧倒的な信頼を得ながら業界内で確固たる地位を築いてきた。その成長を支えているのが、本国デザイナーが描く店舗空間デザインを、日本の法規制や施工条件に適合させながらカタチにしていく「ローカルアーキテクト(LA)」たちだ。

2014年にGARDEに入社し、数々の世界ブランドの店舗設計を手掛けてきた土屋由香は、「デザイナーの理想を叶えるべく、見えないところで奔走する“究極の調整役”」と自らを定義する。

「本国デザイナーから届いた平面図、パース図を現実に置き換え、法的なチェックやレギュレーション(建築基準)チェックを進めて基本図に落としていくのがLAの役割です。求められたデザインを具現化できるように、あらゆる可能性を探っていくプロセスこそ私たちの腕の見せ所。例えば、店内空間の一部を『まん丸にしたい』という要望があり実際には難しかったとします。できないというのではなく、『オーバル(楕円形)ならどうか』など、デザインからできるだけ逸脱しない形で提案していけるかどうか。どんな空間を作りたいのかを理解し汲み取って代替案を探し出していきます。そうした根気強いやりとりを重ねることが、お客様との信頼関係を築いていくのです」(土屋)

前職の大手内装会社でも多くの世界ブランドの店舗設計を手掛けてきた土屋。GARDEに来たのは、フラットな組織ゆえ、一人に任される業務範囲の幅に魅力を感じたからだった。

「LAという役割でありながら、いち営業担当のように予算を見ながら、施工者と一緒に店舗の完成までを見届けることができます。案件全体のコストや納期を管轄するプロジェクトマネージャー(PM)とは常に意見交換しながらタイムリーな連携ができる。コンパクトな組織規模ゆえに意思決定が早く、本国デザイナーの要望とこちらの提案がパチンとハマったときの気持ちよさが、仕事の醍醐味ですね」(土屋)

2024年12月にジョインした中澤敬史は、「世界の一流ブランドほぼすべてに携わっている」GARDEの実績に惹かれて入社を決めた一人だ。前職は国内の設計事務所で、プレミアム酒類ブランドの海外進出プロジェクトを手掛け、アメリカでの生産施設設計を担当してきた。いわば“本国デザイナー”の立場にいたところから、彼らの思いを汲み取る逆サイドに立つことで、これまでの経験が生きるのではないかと考えた。

「いちブランドに長く携わってきた前職と比べ、GARDEではさまざまな経営理念やブランドフィロソフィーを持つお客様の仕事を手掛けることができます。それぞれの考え方が空間建築や内装にどう反映されているのかを学びたいと思いましたし、前職でデザイン意図を伝える側だったからこそ、今度はその意図を実現するスキルを磨きたかった。担当したブランドや企業のことはできる限り調べ尽くし、誰よりも私自身がそのブランドのファンになっていきます。デザインの背景にある思いを想像し、一緒に作ろうという思いで動けることが大切だと思っています」(中澤)

入社して1年未満で、すでに3大コングロマリット傘下のラグジュアリーブランドを担当している中澤。メンバーを信頼し任せる背景には、「お客様と直接やりとりができるポジションに就き、実務経験を積むことが何よりも学びになる」というGARDEの思いがある。

「実際に、店舗空間が完成し販売スタッフが入って動き始めると、それまで目に入らなかった改善点が見えてくることがあります。例えば、お客様の動線を考えればドアの位置を変えたほうがよかったと気づかされたり、販売スタッフから『ここに棚があれば使いやすそう』と言われたりしたこともあります。完成したものをすぐに変えることは難しいものの、現場から得た気づきや声を知見として、本国デザイナーに伝えることはできる。経験を積めば積むほど、今後の提案に生きていくだろうと感じています」(中澤)

完成ぎりぎりまでデザイン変更の要望が届き、何度もコミュニケーションを重ねて実現可能なラインを見出していくのもLAの日常だ。「できる限りどこまでもデザイナーに寄り添う」立場でありながら、ブレずに持っているのが消費者目線だと土屋は言う。

「店舗空間を訪れ、購入を決めるのは消費者の皆さんです。ブランドの世界観を感じていただくことはもちろん大切ですが、心地よくなければ買い物はしないでしょう。商品の魅力が引き出され、この店舗だから購入したいと思っていただけるような場を作っていきたい。日本で調達できる建材、土地や気候の特徴などあらゆる要素を加味しながら、心地よい空間を生み出していくことに、妥協せずに向き合っていきたいと思っています」(土屋)

世界水準のESG経営が、信頼の礎に

世界のトップブランドと仕事をしていく上で、GARDE自体がサステナブル経営に先進的に取り組んでいることもまた、パートナーシップをより強固なものにしている。2024年5月には、世界13万社の中で上位15%に付与されるEcoVadisシルバー評価を取得。これは、環境、労働と人権、倫理、持続可能な調達に対する企業の行動と今後の取り組みを認定する世界的な制度だ。環境に配慮した建材・素材への各ブランドのニーズが高まる中で、本国デザイナーへこちらから提案することも増えているという。

「自社で世界水準のESG経営を実践しているからこそ、お客様のサステナブルへの要求を理解し応えていけるのだと思っています。今後はゴールド、さらにプラチナ評価取得へと上位を目指し、一流ブランドの皆さんと同様の高い視座に立っていきます」(土屋)

2025年1月には、NYの一等地・チェルシーに300平米弱のギャラリー「GOCA」をオープンするなど新たな取り組みにも意欲的なGARDE。「事業とのつながりを見出し行動に移していくのがGARDEらしい」と、中澤はその広がりに期待する。

「一流ブランドの店舗空間には、必ずと言っていいほど、ローカルのアーティストが手掛けた絵や彫刻が置かれます。アーティストとのコラボレーションを通じて、ブランド力をさらに高めていく部分があり、アートとのかかわりはとても深い。既存ビジネスとの関連から事業の幅を広げていこうというチャレンジ精神はGARDE特有のカルチャーでしょう。その姿勢に刺激をもらいながら、私も、LAとして得た気づきを事業成長につなげていきたいですね」(中澤)

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Promoted by GARDE|text by Rumi Tanaka|photograph by Yoshinobu Bito|edited by Mao Takeda

GARDEがデザインを担当したホテル「ハイアット ハウス 東京 渋谷」が4つのデザインアワードを受賞

(写真右:ハイアット ハウス 東京 渋谷 矢野GM、写真左:GARDE代表取締役社長・室)

GARDEが2024年に内装デザインを担当させていただいたホテル「ハイアット ハウス 東京 渋谷」が4つの国外デザインアワードにて受賞を果たしました。
この記事では施設デザインの振り返りと受賞アワードについてご紹介します。


デザイン概要

「ハイアット ハウス 東京 渋谷」は、「暮らすように泊まる」をコンセプトとしたハイアットホテル&リゾーツブランドの施設です。渋谷駅中心地区の再開発プロジェクトにおける複合施設の一つ「Shibuya Sakura Stage」内に位置し、スイート18室を含む全125室の客室を備えています。

最新のトレンド・カルチャーを享受できる渋谷は、東京の中でも最も多様な価値観を体感する場所である一方で、隣接した高級住宅や古き面影を残す路地や横丁という魅力も併せ持っています。
「多様性のまち SHIBUYA」に見受けられる、この「2 面性」を体験として刻んでいただけるような空間デザインを意識しインテリアに反映させました。

空間に息づくアート作品

渋谷のまちの魅力を発信すべく、3 階エントランスから各客室まで展開されたアートワークもまた、空間デザインコンセプトと連動した「2面性」というテーマで造られています。
渋谷の本質と多様性・双方性を表現した8 名のアーティストによる19点の作品が、施設の共有スペースを彩ります。

施設内アート作品詳細はこちら
>GARDE for 『ハイアット ハウス 東京 渋谷』多様性の街 SHIBUYAでアート探訪

受賞アワード

IDA Design Awards 2024

アワードについて
建築、インテリア、プロダクト、グラフィック、ファッションデザインにおける優れたデザインの先見性を認め、称え、促進し、世界中の新しい才能を発見するため、Farmani Groupによって設立。少なくとも15年の経験を持つ業界のエキスパートによって、すべて同じ基準での審査が行われる。

受賞内容
タイトル:Silver
カテゴリー:Hospitality Interior Design-Hotels / Resorts

MUSE Design Awards 2025

アワードについて
MUSE Design Awardsは、クリエイティブとデザインのプロフェッショナルを顕彰するため世界中から約40名の審査員による審査が行われる、2015年に設立されたアワード。
主催のInternational Awards Associate (IAA)は、新しい才能や既存の才能の発掘と評価を通して業界を前進させることに深くコミットしている。

受賞内容
タイトル:Gold Winner
カテゴリー:Interior Design – Hotels & Resorts

The IPAX Asia Pacific Property Awards 2025-2026

アワードについて
International Property awardsは、不動産・不動産業界のあらゆる分野で活動する企業による最高レベルの業績を称えるため設立。英国をはじめとした、アジア太平洋やアフリカ、ヨーロッパなどの9地域に分かれ開催され、あらゆる不動産分野をカバーする経験豊富な専門家チームによって審査される。

受賞内容
タイトル:Winner
カテゴリー:Hotel Interior

DNA Paris Design Awards 2025 

アワードについて
世界中の才能溢れるデザイン守るべく様々な活動やアワードを運営するFarmaniGroupとクリエイティブ集団InBetweenによりパリに設立。実用的で美しく、革新的なデザインによって私たちの日常生活を向上させる国際的な建築家やデザイナーの仕事を称えるアワード。

受賞内容
タイトル:Honorable Mention
カテゴリー:INTERIOR DESIGN-Hospitality

最新のアワード受賞情報はGARDEニュースレターにて配信しています。
その他、ニュースレターではGARDEが担当した竣工物件のご紹介や各国のトレンド情報、デザイン、アートに関する情報など、幅広くお届けしています。
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ハイアット ハウス 東京 渋谷―施設概要

名称:ハイアット ハウス 東京 渋谷
所在地:東京都渋谷区桜丘町 3-3
階数:地上30階建て (1~3階、6~16階部分)
客室数:125 室
事業主:東急不動産株式会社
建築設計:戸田建設株式会社
インテリア設計:株式会社 GARDE
照明設計:株式会社ライトモーメント

ハイアット ハウスについて

ハイアット ハウスのホテルは、短期でも長期でも滞在に必要なものが全て揃う、広々とした居住空間を求めるお客様のために設計されています。世界中に140軒以上あるハイアット ハウスでは、自宅のようなアメニティ、意図されたサービス、コンテンポラリーな空間を完備。バーエリアではクリエーティブな厳選メニューを用意し、仕事や交流、くつろぐ際にも快適な共有スペースを屋内や屋外に設けています。

ハイアット ハウス
https://www.hyatt.com/ja-JP/brands/hyatt-house
ハイアット ハウス 東京 渋谷
https://www.hyatthousetokyoshibuya.jp/

トレンドリサーチ リカレント教育で「革新的な知識のクリエイター」を産み出す大学院

他人が作った知識のフォロワーでは×、知識をつくる側になれる人材を育てるカリキュラムとは?

東京 表参道交差点の喧騒の一角、閑静な佇まいを見せるモダンな建造物に社会構想大学院大学はあります。コミュニケーションデザイン・実務教育・社会構想の3分野において活躍するプロフェッショナルを養成する専門職大学院として誕生し、一貫して社会人を対象とした教育活動に取り組み「理論と実践の融合」の観点から社会や組織の変革に貢献できる人材を輩出しています。

GARDEの事業の多くは、そういった社会構想・事業構想の一端を担うことで成立しており、この分野における教育や人材育成は非常に重要であると考えています。
今回は、社会構想大学院大学 学監・Provost 実務教育研究科 研究科長の川山竜二氏にお話しをうかがい、学内のご案内もして頂きました。
次の項では、社会構想大学院大学ならではの「リカレント教育」について、ご紹介していきます。

社会構想大学院大学 学監・Provost 実務教育研究科 研究科長 川山竜二氏

リカレント教育とは、学校教育の修了後も生涯にわたって学び続ける事を指しますが、ここでは、普通のビジネススクールで学ぶような「理論」と並行して、一般的な大学院のゼミ活動で行われる「実践」による研究テーマの追及を同時に進めています。更に地域コミュニティーと学びを連動させ、結果、先人たちの紡いできた知識を得るだけの「フォロワー」ではなく、知識そのものを創り出すことが出来る「リーダー・クリエイター」の育成を実現しています。

また現在、日本の大学院では唯一と言える社会教育士の資格取得も可能となっています。

オンラインを中心としたバラエティーに富んだカリキュラムによって、北海道から沖縄までの広い地域に住まう仲間と学ぶことが出来、もちろん表参道や国内各所にある校舎においてオフラインで学ぶことも可能です。

また、取得できる学位に関しては、

  • 社会構想修士(専門職)
  • コミュニケーションデザイン修士(専門職)
  • 実務教育学修士(専門職)

となっています。

御神木に見守られるようにデザインされたエクステリアと校内のアート

最後に、エクステリアのデザインや校内に配されているアート、敷地内にてシンボリックな存在感を放つ、御神木について画像でご紹介します。

直線を基調としたミニマルな構造のエクステリアに様々な有機的要素を加えた独特の様式美
共用部にはアートが配され、現代アートギャラリーのような雰囲気も感じ取れる
シンボリックな御神木を囲むように設計された校舎。そこに鎮座し静寂を保っている

10月4日(土)、5日(日)に開催される社会構想大学院大学のオープンキャンパスではキャンパス見学のほか、ハイフレックス型の授業を体験したり、在校生との座談会を通じて社会人大学院の現場を体感することができます。詳細は以下URLよりご覧いただけます。

社会構想大学院大学HP URL : https://www.socialdesign.ac.jp/
オープンキャンパス2025 : https://lp.socialdesign.ac.jp/opencampus_2025
GARDE公式HPリンク : https://www.garde-intl.com/
GARDE デザインマガジンURL : https://www.gardedesignmagazine.com/

ラグジュアリーブランドが仕掛ける、カフェ・レストランに見る新たな潮流

近年、Hermès、GUCCI、Tiffanyなど、名だたるラグジュアリーブランドがカフェやレストランをオープンするケースが増えています。今回は、ラグジュアリーブランドがなぜ飲食店業態に参入するのか?その理由についてお届けします。

近年のラグジュアリーブランドの傾向

海外ではFENDI やArmaniが手掛けるホテルが開業され、日本ではブルガリ ホテル 東京が2023年に誕生し、そのブランドの世界観が楽しめるとして、また従来のラグジュアリーホテルとは違った楽しみを得られる場として、生活者の憧れの施設の1つとなっています。

現代の消費者は、モノ消費からコト消費、体験や感動、共感といった、形のない価値を求める消費者が増えている傾向にあります。その中でもホテルの流れを踏襲し、カフェやレストランにおいてもブランドを体現した空間やメニューの提供によって身近にブランドの世界観を体感してもらう場として欠かせない市場であるといえます。

ブランドの世界観を五感で表現

様々なラグジュアリーブランドが展開するカフェやレストランは、その美意識、様式美や世界観を体現する空間として設計されており、インテリア、食器、音楽、そしてもちろん料理に至るまで、細部にまでブランドのこだわりが反映されています。

例えば、大阪心斎橋にあるラグジュアリーブランドの世界初のカフェレストランでは、ブランドらしい落ち着いた空間デザイン設計になっているほか、第2号店となる東京・銀座の店舗は外観のビルデザインに合わせた色彩で爽やかな空間デザインが特徴となっており、店舗によって異なった楽しみ方や特別なひとときを楽しむことができます。いずれの店舗にもお客様をお出迎えする入口にブランドの代表的な商品がインテリアとして飾られ、店舗内ではナプキンホルダーや提供されるラテアートにブランドの特徴的なデザインが施されているなど、細部へのこだわりによってブランドカフェで過ごすラグジュアリーな時間への期待感とブランドの存在感をしっかりと表現された空間となっています。

AMI PARISは表参道通りに「LE CAFÉ AMI ル・カフェ・アミ」を期間限定で開催。1階はイートインスペースとしてAMI PARIS のブランドの世界観を楽しむことができ、2階はブランド商品を販売しており、単なるレストラン・カフェだけでなく、より深いブランド体験と一層ブランドへの愛着を深める空間となっていました。

気になったブランドカフェやレストランは是非店舗へ

ラグジュアリーブランドが取り組むホテルやカフェ・レストランは気軽にブランドの世界観を感じることができる機会となっています。なかなかブランド店舗の扉を開けにいくのは少し勇気がいるという方も多いかもしれませんが、ブランドのこのような取り組みをきっかけに実店舗のストアにも訪れていただき、空間そのものを楽しんでいただけると嬉しいです。

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千年の美が創る未来:西陣織が空間デザインにもたらす革新

京都・西陣で千年にわたり受け継がれてきた西陣織。伝統的な技術と美しさで知られており、その歴史は1200年にもおよびます。海外では織物=テキスタイルと呼ばれ、ディオールやシャネル、エルメス、カルティエなどのブランド店舗の内装に使われるなど、空間デザインの分野でも注目を浴びています。

西陣織の空間デザインへの革新的な活用

西陣織は、その多彩な技法と精緻なデザインで、インテリアファブリックとしての新たな展開を見せています。例えば、渡文株式会社は、帯地の製織で培った技術を活かし、タペストリーやアートパネルなどのインテリアファブリックを制作しており、「満月」や「砂紋」といった作品は、西陣織の技法である「ふくれ織」を応用することで作品としての立体感や光沢を巧みに表現しています。

また、株式会社加地織物が展開するブランド「KYOGO」は、西陣織の伝統技術と現代のデザインを融合させたインテリアファブリックを販売。フランス・パリのショールーム「ESPACE DENSAN」での展示では、壁紙やファブリックパネル、クッション、シェードなど、多様な製品が紹介され、海外からも高い評価を得ています。

アップサイクルによる新たな価値創造

西陣織の伝統的な素材や技法を活かしつつ、現代の感性を取り入れたアップサイクルの取り組みも注目されています。廃棄されたビニール傘を再利用したアップサイクルブランド「PLASTICITY」と、桐生織の森秀織物株式会社、クリエイターのEmi Arihisa氏がコラボレーションし、桐生織から着想を得たリ・デザインを活用したマルチショルダーケースが販売されています。

伝統と現代の融合が生み出す未来

西陣織は、伝統的な技術と美意識を継承しつつ、現代のデザインや技術と融合することで、新たな価値を創造しています。熱海の「桃乃八庵」は、由緒正しき別荘エリアとして知られる春日町で、長く愛され続けてきた旅館の別館だった建物。5年間放置された築85年の建物でしたが、その古民家を再生・リノベーションし、キュレーションホテルとして生まれ変わり、部屋のソファと黒いサロンチェアの張地は斉藤上太郎氏デザインの西陣織が採用され、伝統とモダンが調和した空間が生み出されています。

日本ではその継承者不足によりここ30年で日本の着物市場全体は5分の1へ、高級な「帯」が主力である西陣織の市場は10分の1へと減少しているといいます。近年では存続のために機械化に挑戦する工房も増えているといいます。伝統工芸である西陣織が持つ無限の可能性が再注目を集めることで、その価値と存続の重要性が伝わることを祈っています。

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